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第26章 帰郷


「…俺はもうちょいお前のおった世界に滞在すんで?色々見たいし、改めて色んなやつに挨拶したいし」

『……学校、は…?』

「俺が話を通すさ…何、義務教育の期間なんだ、大丈夫だよ。お前なら受験に支障も出ないだろ?」

『…でも、そしたら中也のこと一人にしちゃう』

中也は私の言葉にくす、と笑って、また大丈夫だ、と私を撫でて言い聞かせる。

「ずっと離れてたのにそんな野暮なこと考えんなよ…親子水入らずで過ごしてこい。俺が向こうの立場なら、一緒にいてえと思うし……修学旅行の日だってお前、俺と一緒にいたかったんだから」

心の奥底を見破られたような気がした。
中也といられなかった四年半…良くも悪くもこの世界に来てからは彼が全てと思っていた私には、そんな期間でさえもが永くて、怖くて不安でたまらなかった。

今の私には友達や仲間というものがちゃんといて、恵まれていて…だからこそ、気付かないふりができていた。

「お前、千年超えるだけでもどんだけ永いか分かってんのか?俺にだって想像つかねえ年数なのに…誰も文句言わねぇよ」

『……ち、中也さん…寂しくなったら真子に頼んで連絡してね?すぐに蝶、とんでいくから』

「ははっ、ありがとうな。大丈夫だ、こんな愉快な奴が代わりにこっちにいるんだから」

『浮気したら殺さずに死にたくなるくらい後悔させてやるからね』

「おお怖い怖い…けどそれはそれで、一生お前のそばにいられていいかもなぁ?」

『へあ、…ッ…!?』

クイ、と上を向かされれば、近付いてくる中也の顔。
思わぬ返しにスプーンをテーブルへ落とすも、そのまま唇が____

「「「「「はいそこ!!!店の中でイチャつくな!!!!!」」」」」

触れ合う直前で、周りから全力で阻止された。

…そう、ここは磯貝君のバイト先。
クラスの皆も一緒に来ている…そして大人数で近くに座っている。

『は、はふ…ぁう…っ』

「刺激が強すぎたってか?いつももっとすごいことしてんのに」

「「「「「どんな教育してんだよ!!!」」」」」

「お前何教え込んだんやこいつに…」

真子でさえもが引くレベルだ。
や、やっぱり相当頭おかしいんだこの人…知ってた。

『~~~、っ真子!!!中也さんちゃんと見張っといてね!?絶対!!!』

「お、おう!?」

『ボディタッチでも受けてたら地獄蝶で即連絡!』

「おう…」
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