第26章 帰郷
『中也さんって、蝶に何もらったら嬉しい?』
「え、俺?…蝶がもらえたらそれが一番嬉し『それ無しね』…お前が選んでくれた物ならなんでも」
『いっつもそう言う…』
そんな気はした。
放課後、予定通りに甘いものを食べながらそんなことを繰り返す。
「お前だってそうだろ?そういう物なんだよ」
『……物欲なさそうな人に聞くのが一番だと思って聞いたのに』
「なんや澪、お前何をそんなに悩んでるん?俺なら、美味い手料理でも喜んで受け取るで?」
『…料理?…私なんかの?』
「お前の手料理美味いやんけ、知らん奴が食うても嬉しがるわ」
中也の横でパフェを食べる真子の提案に、ピタリと少し考える。
手料理…手料理なぁ…
『…そ、それ以外は?もっと…料理もする、として…それと一緒に何か…』
「蝶、お前そんなに焦ってどうしたんだよ?余裕ないじゃねえか」
『!中也…、だ、だってあと三日しか…っ』
「「なにが??」」
中也と真子が口を揃えてそこを突く。
『だ、…そ、れは……その、言い難い、けどその…』
「…ああでも、その日ならあれか、喜助とまた会える日やん?…お前喜助に何か渡したいんか?」
嫌なところでかんの良い奴。
『い、いいでしょそんなの…』
「浦原さんか…けどそれなら、本人からお借りしますって言われたばかりだけどな?俺」
『!……そ、それは多分、久しぶりに家に行くとかいうくらい…じゃないかな。……ねえ、何かない??』
我ながら無茶なことを聞いているのは承知なのだが。
…だってあの人、何にも強請ってくれない。
私がいればそれでいいって。
私といれればそれでいいって。
「お前お得意の発明品か何かは?」
『…あの人の方が何倍も得意だから、そういうのは』
「発明品ねえ、……ああ、じゃあ蝶…一緒に作業でもしてきたらどうだ?」
『えっ…?』
中也からの提案に、私も真子も目を点にする。
「お前、もうあの世界に行き来できるんだろ?それなら能力で行けるだろうし…二人ともそういうのが好きなら、一緒にしてきたらいいじゃねえか」
『…い、いや…それは勿論好きだけど、そういうんじゃ…』
「…一緒にいて、し足りねえだけ世話してきてやれよ。そしたらお前もむこうも嬉しいだろ」
『で、でも三日も離れ「お前が手伝ったら作業効率も上がるだろ?」!!!』