第26章 帰郷
「髪も結び直したし、いつも通りだ…なんでそんなむくれてんだよ?」
『…別に?』
「ほぉ〜…まさかこいつが制服を……ミニスカート……馬子にも衣装ってやつか?」
『ねえ、こいつの命日今日にしていい?』
「ああああすまんすまん!!!照れ隠しやんけ!!?お前そういうのほんま似合うんやから…可愛ええんとちゃうか?」
『……、こ、ここここ殺していいこいつ!!?』
「「「どっちみち殺すんかい!!!!」」」
最早終始私をあやし続ける中也に泣きつくと、お前なんでそんなあいつに対して分かりにくいんだよ…と呆れられ始めた。
「…俺に気使って素直になれねえんなら、尚更『違う…!!!』…十二番隊ってどいつもこんなもんなのか?」
「…褒められ慣れてへんだけやろ」
「あー、すっげえ納得したわ。お前ずっとそうだったのかよ?」
「喜助には最初っから反発するような照れ方はしてなかったんやけどな…まあ性格の差やろうけど」
『あ、ああああ当たり前じゃないっ、あんたと喜助さんじゃあ月とスッポン通り越して太陽とミジンコなんだから!!!』
えらい言いようやなほんま、と突っ込まれる。
こんなやり取りも懐かしい…そうか、懐かしいのかこのやり取りは。
『……あんた、なんで…好きな人の一人や二人作らなかったのよ。…美人で可愛らしい子大好きなくせに』
「あ?んなもんどこぞの美人が帰ってきた時に、貰い手がおらんかったら困るやろうと思ったからやんけ」
『…どこぞの美人って誰?何、他に誰かいるくせしてあんな「お前なんで自分やて気付かんねんほんま…」え、…は?…は…!!?』
「……まあ、俺がおらんかったところで喜助にもらわれとったんやろうけど?お前なら…おお、そない考えてみたら俺出る幕ないやんけ。なんならとっととおらんくなってた方が良かったか」
『……………そういう冗談、嫌い』
「…なんや、やっぱり大好きやんけ」
あんなにめちゃくちゃ言ったのに、なんでそんなに笑えるの。
だから馬鹿なんだ、だから…そんな一途に会えるかどうかも分からないようなこんな奴のこと、なんで…
『…、だって、…思わないじゃない、会えるって…またその顔見れるなんてッ』
「気にすんなって、お前は俺の何倍も我慢してたんや…寧ろ壊れんとってくれただけでも嬉しいで?俺は」
今の私は、中也の胸に泣きつくことしかできなかった。
