第26章 帰郷
『なになに?照れ隠し?』
「だってマユリ様、澪さんのこと大好きだから…ほら、隊首室にお写真まで!!」
「ようし、今夜は貴様を実験台にしてやろう…阿近後は適当にあしらっておけ」
「適当にって…平子隊長に浦原さん…それから知らないお客までいるんですが?」
スタスタとちっちゃいネムさんを連れていくマユリさんは「だから適当でいいのだよそんな連中」と吐き捨てて、また阿近さんに全委託…苦労人だよなぁこの人。
私が言えたことじゃないけれど。
「な、なんや…澪の写真なんか飾ってんのかあのキチガイ」
『ちょっと、人のところの隊長キチガイって言わないでよ?マユリさんはそうじゃないとマユリさんじゃないでしょう?』
「フォローになってない気が…んで?手前は?」
「!…十二番隊副隊長の、阿近です。澪さんには幼少期から世話に…ちっこくなっちゃいましたね澪さん?可愛らしいですよ」
『え、っ…そ、そう…?』
「「んな、っ…!!!」」
反応する真子と中也をよそに、割と本気で照れさせられる。
「それに変わらずお綺麗で…」
『…そ、そんなに褒めなくても……、私のこと怖くないの…?』
「まさか、どうして俺があなたを怖がるんです?…しかもこんなに可愛くなっちゃったのに」
ぽふぽふと独特の撫でられ方をして、それにノックアウトされた。
「手前うちの蝶に何を…、略奪愛か?いい度胸してんなこら…っ」
「阿近てめえ俺が振られたばっかりやってのに…!」
「えっ、平子隊長振られたんですか?お疲れ様です」
「こいつ…!!!」
まあまあまあ、となだめる喜助さん。
しかしそんなことも気にせずに、中也の頭からチラリと阿近の方を覗いて、反応を伺う。
『………あ、あのね…?その…』
「!…はい、どうしました?」
『…、た、だいま……?』
「…おかえりなさい、澪さん。みんな待ってましたよ…隊長も、俺も」
微笑んだ顔が眩しかった。
感動どころの騒ぎじゃない。
『………中也が普段からこんな感じだったらなぁ…』
「…お前のタイプがだいたい分かってきたわ…狙ってるタイプの天然タラシ野郎だな?オーケー、よォくわかった…」
『狙ってるタイプの…?』
「…お前はそのままでいてくれ蝶」
「…案内します、少し中の構造も変わってますから…新鮮ですね、俺が案内する側になるなんて」