第26章 帰郷
私のように壁を扱いきれたり、相手の力を封じたり…もしくは相手の居所が正確に掴めずとも攻撃手段を有していたりするような人間でなければ、相性が悪いのが真子の始解の能力。
卍解に関しては私にさえ教えてくれはしなかったのだが、あまり人前では使いたくないものなのだとか。
しかし、それを抜きにしても真子は強い…ただ、中也が化け物じみた勘と気配の察知能力の持ち主であることから、逆転も予想はされるのだが。
「…斬魄刀使ってもええもんか?…ああ、他の野次馬共は外出とけよ、巻き込んまれたら気分悪してまうで」
ギャラリーを退散させ、残るは私と中也と真子…それから喜助さんと京楽さんのみ。
『何が巻き込んだら、よ。私がいるのに巻き込むわけないでしょ?』
「うっさいな、お前あんな大人数に壁使えるんかい?」
『霊子がたっぷりだもの、余裕よ、余裕。私に勝てないくせに何言ってるんだか』
「はあ!?じゃあ俺が勝機があるかもしれん中也ならどうやねん!」
『中也には反則技さえ使わなきゃ、多分勝てない…けど、中也は私に手出せないから、どっちみち勝てないの』
納得のいかないような様子の真子だが、私の発言から警戒を少し高めた様子。
あいつだって、馬鹿だけれども阿呆じゃない…いや、阿呆なのは阿呆なのだけれども。
何も考えていないわけでもなければ、まぐれで隊長に…それも、“五番隊の隊長”になったわけではないのだ。
エリート揃い…戦闘力だけでなく、圧倒的なその戦闘センスで、五番隊というその隊の頂点に立っているのだから。
…卍解さえ使っていれば、きっとあんなことには…。
考えるのをやめて喜助さんと京楽さんに壁を張って、それから真子が始解をする…のだが。
『………あっ、ごめん真子!!もしかしたらあんたの始解、中也に効果ないかもしれな____』
「っああ!!?なんでこんな早…っ、て重!!?ギブ!ギブやギブ!!!!」
『あー……ごめん真子、私が悪かった…中也に自分の体質移ってるってさっき言ったばっかりなのに』
毒じゃないから忘れてた、と言うのと共に、重力から解放される真子。
「ご、ごめんですまんこともあるんやぞ…っ」
『…てへ?』
「…」
『状態異常に陥るような物質の効果なら、打ち消しちゃう可能性があったから…ほら、ただでさえ私の核を半分移してるわけだし』
「……納得やわ」
