第26章 帰郷
すぐさま、一番隊舎の道場を使って執り行われた手合わせ…どこから聞きつけたのか、ギャラリーも心なしか多過ぎるような気がした。
なのだが。
「……成程…、?」
結論から言うと
「…っ、おい、蝶…?お前…この人死ぬほど強ぇじゃねえか…、はぁ、…っ」
大接戦の末に、ようやく中也が勝利した。
『当たり前でしょ?喜助さんだよ?』
「かっこよかったですか?澪さん」
『うん、中也の次に♡』
「っ、あ〜〜…くそ、……あっぶねえわ、傷つけずに参らせるとかどんな鬼畜縛りだっつの」
『だって中也が本気出したら隊舎消し飛んじゃうじゃない』
どんな馬鹿力だよ…!!!!
なんて心の声が伝わってきたような気がしたが無視だ、無視。
「……相手側も、あれでも俺に傷つけねぇように手加減してたんだろ?…弱いと思ってたわけじゃねえけど、まだまだだな俺も」
『……でも、“足使わなかった”でしょう?』
「!!…まあ」
『大丈夫、中也さんは強いんだから』
疲れきった様子で座り込んだ中也ににこりと微笑むと、くしゃりと頭を撫でられる。
「…俺の褒美。俺のこと癒せ」
『はいはい』
「……ちなみに、中原さん…本気出して能力使ったら、どうなってました?」
「あー…多分浦原さんが即刻地面に伏してた」
物理的に。
「…アタシが斬魄刀使ったら…?」
『喜助さんの場合なら…ある意味勝つ方法はあるかもしれないけど、手合わせのためには使えないだろうから、多分どの道…』
「じゃあ他の誰か…斬魄刀を使ってでも勝てそうな方は…!あ、ほら、涅さんとか!」
『私の血液が流れてるんです、無理ですよ』
ガクッ、と落胆する喜助さん。
状況にもよるだろうが、一対一でこの人に能力ありでも勝てるような人なんて…
そもそも物理攻撃がきかない上に、毒もきかない。
重力による影響だって受けなければ、この人に敵う人なんて…
なんて考えていたところで、考えを改めた。
『……殺す気で挑むなら、多分喜助さんが本気で殺るつもりじゃなきゃ。……けど、そうじゃない程度なら…手合わせ程度でやりあうなら、一人勝算がないでもない人がいるわね』
「!!だ、誰だ!!?」
『そこでこっそり観戦してたあの馬鹿』
すっと指さしてたんたんと答えると、誰が馬鹿じゃ!!!と反論される。
「あいつ…、平子…?」
『うん、強いよ』