第26章 帰郷
手渡された懐かしい死覇装と白衣に袖を通して、喜助さんに背負われて一番隊舎まで戻ってくる。
「ただいま戻りました〜」
「おお、帰ってき…おや?懐かしい子が帰ってきたねえ…改めておかえり、澪ちゃん。……今は中原ちゃんって呼んだ方がいいかな?」
『!…澪で、大丈夫です。…こっちにいる時は、それでいいです』
「…お前、まさか隊長…いや、けどさっき平構成員って…?」
一人だけ困惑気味な中也に、京楽さんが説明する。
「彼女のあれは、隊長羽織に見立てて特注で見繕ってある“白衣”だよ。あれがあった方が落ち着くらしくてね…それと、平構成員だと思い込んでいるのは澪ちゃん本人ただ一人さ」
「澪さんの所属は十二番隊…別名技術開発局」
「技術開発局…?」
七緒さんが大まかに十二番隊について説明し、更にそこから私の役職を中也に教えていく。
「そこで、澪さんは副局長…というわけではなく、技術開発局の局長を二人体制にしてしまったんです。…要するにそれは、十二番隊の影の隊長というわけでして」
「二人体制…成程?……まあ、うちの蝶は他の奴らを認めさせるくらいには強かっただろ」
「それもまあびっくりしちゃうくらいにね?一体誰に仕込まれたのかは知らないけどさぁ…?」
じ、と喜助さんに向けられる二人からの目線に、中也は私の話に夢中になってか気付いていない。
「あ、あははは…澪さん太刀筋も霊圧もすごいから上達もすごくて…」
『手取り足取り教えてくれたもんね?』
「事実だけどそういうこと言うからアタシにあらぬ疑惑が…!!」
否定しないから余計になんだけどなぁ…。
「ああ、でも確か、剣の師匠は…」
『…さっき会ってきました。今度また、ちゃんとお花持って行きます……綺麗なままでよかった』
「!…うん、それはよかった。……にしてもそうか、そう考えると、百年くらいは鬼道と能力と肉弾戦で…考えれば考えるほどすごい事だよ?それって」
『…そういえば、私の斬魄刀……折れちゃったままだったの、どう…なりました?』
「……零番隊にて保管してあるはずですよ。会いに行きますか?」
喜助さんの問いに安心してから、首を横に振った。
『…もうゆっくり休んでいいと思うの。治ったんならよかった…次また私がここに戻ることになったら、また力を貸しておらおうかなって』