第26章 帰郷
「……本物の質のいい装束なんて初めて着た」
「おおお、中原さん、中々お似合いで…その着こなしに装飾品がよく映えます」
「う、浦原さん…あんたいい人だなぁ…っ」
太宰と同類の奴かと疑っててごめん浦原さん、本当に。
「隊舎にいるうちはこの方が動いてもらいやすいからね…元の服は僕のところで預かっておくから、心配しないで。それと…澪ちゃんが起きたら、これを」
着るか着ないかは、本人の意思に任せるよ。
俺にそう言いながら、衣服を手渡す京楽さん。
手渡されたその服を見て、またどこか懐かしさのようなものを感じた。
しかし、その服に一番反応を示したのは、意外なことにも浦原さんの方。
「…京楽さん、これ…!」
「ふふ、ちょっとしたサプライズってやつ?……澪ちゃんが起きたら伝えてあげてよ、それ実は山じいがずっと保管してたやつなんだ」
「!!!…分かりました」
よく分からないやり取りに首を傾げていると、部屋の扉をノックする音が。
それに反応した京楽さんに促されて、先程別れた伊勢が、お茶と客人ようの菓子とを盆に乗せて入ってくる。
「おまたせしました。…!…京楽隊長のようなセンスの方ですね?少し驚きました…そのような着こなしをされる方、珍しくて」
「帽子なんて被ってる子も珍しいし、手袋に…首のそれはチョーカーというやつだね?…こちらでは出回っていないものだからね」
「え?浦原さんも被ってるんじゃ…」
「ああ、アタシは今、護廷十三隊には所属していませんから…それはいいとして、伊勢副隊長、頼んでいたものは揃っていますか??」
頼んでいたもの、と言う浦原さんに、テーブルに運んできたものを置いてから、伊勢は表情を引き攣らせた。
「ええ、まあ…大勢のボランティアで協力してなんとか。……あんなに志願者が多いのも驚きましたが、それ以上に久しぶりですよ?あんなの見るの」
「澪ちゃん人気者だからねぇ…ちなみに、どこの隊が手伝ってくれたの?」
「ほぼ全ての隊が…主に十二番隊と、それから十三番隊と六番隊、十番隊、二番た「うん、分かった。皆澪ちゃん大好きだっていうことはよぉくわかったよ七緒ちゃん」…誰の選んだものが一番彼女を喜ばせるかって、活気づいてましたよ」
「…頼んでいたもの?」
俺がそう聞くと、にやりと浦原さんが笑って言う。
「あなたなら経験がおありなのでは?」
