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第26章 帰郷


降り立ったのは、少し古風な家づくりの並ぶ世界。
その真ん中にある、一際目を引く大きな建物群に着地した。

その世界はまだ明るい時間帯だったようで、朽木と松本、平子はそれぞれの隊舎へと解散し、俺は蝶を連れて浦原さんについていく。

少し建物に入ったところで、貫禄のある…しかしどこか話の通じそうな、眼帯をつけた男に出くわした。
女物の着物や傘を被っていたりと、面白いセンスの格好だが…その下に少し覗く白色の羽織り。

これは、この世界の死神達によって構成される護廷十三隊という組織の、幹部クラスのものの証であると聞いた。
その名の通り十三の隊から成り立つ組織で、その中でも一番隊の隊長をら務めるものが、十三隊の総隊長も務めるだとかなんとか…

「おや、見ない顔…それから、よく知ってる髪のかわい子ちゃんだ」

「京楽さん…許可して下さり、ありがとうございます。………本当に」

「いやいや、君も人の何倍も苦労してるんだからそんな気負わずに…澪ちゃん、寝てるの?それともいつものケア?」

「後者の方っすね。尸魂界に入りさえすればかなり過ごしやすくはなると思いますが…なにせ、空間座標を元にこの子の体感年数を計算したら千と八百七十七年」

浦原さんの言葉にピンと来た。
なんだ、その数値…こいつ、数百年って…

数百年とそんな年月とじゃ、全然違うじゃねえか…おれには想像もつかないが、そんな年数…?

「こりゃまたすごい期間なことだ…よく生きていたねえ、ほんと。それに霊子だって薄かったはずだし、最悪存在しないところだってあるだろうに」

「ついさっき、ほんの少量持ち合わせていた分だけ、注入してきたところです…この量でこの昏睡具合じゃあよっぽどでしょう。もしかしたら、能力だってろくに扱えていなかったかもしれません」

「!!!それって、壁を張る時に血液を消耗することか…?」

「「!!!!」」

俺の発言に二人の目がこちらに向く。

「その話、本当ですか?…だとすると、あの世界はかなりこの子にとって生きづらい環境だったはずだ…そうまでして進化にも近い現象を起こさなければ、能力が扱えなかっただなんて」

「…自己紹介が遅れたね?僕は京楽春水…護廷十三隊で、一番隊の隊長を努めさせてもらっているものだ」

「!…、お、俺は…中原、中也です」

「ははっ、そう固くならないで。客人なんだからさ」
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