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第25章 収束への旅路


温泉を楽しみにしていた蝶には少々申し訳ないような気がしつつも、大浴場へと行くには少し時間を置いた方がいいだろうと判断して、部屋の中で頭を悩ませる。

嫌な視線…確か蝶はそう言った。

しかし、視線を向けられた訳ではない俺には少しそれを感じにくいというものがある。
そんな状況で、お互いに干渉しにくい大浴場に行くのは避けた方が得策だ。

「……念には念を、…だよな…」

携帯を手に取ってから操作していると、コンコン、と外からノックされる。
少し部屋の中でも端のほうから聞こえたそれに反応してカーテンを開けに行くと、俺を安心させようと思ったのか、こちらに向かって微笑みながら手を振る彼女がそこにいた。

その様子に少しホッとしてこちらも手を振り返せば、満足気に笑顔を浮かべる蝶。

…なのだが、何故だか少し物足りない…何かが、足りないような。

なんて考えているうちに、俺の体が元に戻る。
元の年齢の体に。

すると、それを起こした張本人の方に目を向けるのだが…何やら目を丸くしてこちらを向いている。

「…」

それに違和感を感じて、すぐさま露天風呂に浴衣のまま移動する。

すると、それに動揺して少女はバスタオルを腕でギュッと離さないようにするのだが。

「…蝶、どうした?突然能力を解くなんて…このタイミングでどうして解いたんだよ?お前らしくない」

解くのであれば、せめて二人で一緒にいる時だろう…それに、そもそも俺の体を元に戻してしまっては、蝶のお願いを叶えられなくなってしまうではないか。

まだ休みは続くというのにだ。

『い、え…その…っ……かっこいい、から…』

「…へえ、俺が?……手前それ、本気で言ってんのかよ?」

『は、い…ッ…、?何、を…____』

相手の応答に対して、一瞬で見切りをつけてバスタオルを引き剥がす。

そしてそのまま触れた相手の重力を操作して、確認する。

「……手前、足りないんじゃねえか?」

『な、…な、何して…!!!?恥ずかし、いからやめ…ッ』

「いいから答えろや…俺が付けてた印がそんな程度なわけねえだろ。……太腿と背中の分が足りてねえ…おい、手前…蝶の事、“どこにやった”?」

顔を歪めたそいつの姿が、段々と変わっていく。

元の姿に戻ったのか、相手は見覚えのない女になった。
それを思いっきり地面に叩きつけて、上から足で踏みつける。
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