第25章 収束への旅路
「もう一度聞く。手前、蝶をどこにやった?」
「あ゛…ッ、…!!…ま、っ…今、服も着てな…ッ」
「んなことどうだっていいんだよ、とっとと吐けば済む話だろうが?……生身の肌に傷痕遺されるのは拙いんじゃねえのか?」
「!!!…わ、たしは…雇われた、だけよ…っ!」
相手に圧をかけ始めたところで、部屋の中に見知った顔の奴らが到着する。
異能でこっそり鍵を開けておいて正解だった…癪だが、こういう時は頼りになる。
「はいはい、到着してやりまし…ち、中也!!?君、女性に一体何をして…!!!!?」
「どうだっていいんだよそんなこと!!それよりもとっとと名探偵を…!!いいところに来てくれた!!頼む、蝶が攫われた可能性があるんだ!!!」
ここへやってきたのは、太宰と江戸川、谷崎兄と国木田。
こちらの人員に怯んだのか、女は逃げるのを観念したかのように大人しくなった。
「…ふむふむ、予想通りだね。…大丈夫だよ素敵帽子君、あっちには芥川君と立原君…それにトウェイン君に向かってもらっている。君は大人しくここで」
「…待ってろってのか?」
「……待っていた方がいい、お互いのために」
真剣な眼差しで見据えられて、背筋が凍りついたような気がした。
太宰によって相手の女に浴衣が着せられ、それから国木田の能力で身柄を拘束し、警察を呼ぶ。
「………俺がいて大丈夫かよ、警察呼んでるってのに」
「君は情報を外に漏らしていないから大丈夫だろう?漏れるくらいなら蝶ちゃんが全て消してくれてるだろうしね」
どんな手を使ってでも。
…それはそうだが、落ち着かねぇ。
「にしても、これはまた厄介なことになった…太宰と谷崎はここからもうひと仕事だ。蝶ちゃんが落ち着いたら連絡してきて…素敵帽子君送るから」
「はーい」
「分かりました……社長と森さんに連絡は?」
「社長には僕から入れておくよ。森さんの方は…中也君が入れてるだろう」
相手が何者なのかも、きっとこいつは見抜いている。
そして、事の顛末も恐らく…
「…胸糞悪ぃ…こいつポートマフィアで拘束しちゃだめか?」
「君が殺すことが目に見えてるから絶対にダメだね」
「はっ、甘ぇな…んなもんで済ませっかよ。あいつの姿に化けるんなら、俺の目の前でだけはしねえ方がよかったな…この場で殺していいかこいつ」
「お縄になるのが君になるよ?」
