第25章 収束への旅路
一件目を堪能し終わってから二件目、三件目と着々と制覇していく。
よく俺の胃袋もここまで入るようになったもんだ…愛だな。
「そろそろ宿に行くか…夕食付きだし、一旦腹減らそう」
『…それって蝶も食べなきゃダ「ダメに決まってんだろうが」…蝶今六歳だからそんなに食べれないかな〜…なんて…』
この女は…
「ほう?…あんだけ甘いもん食っててそんなことが言えるのか最近の六歳児は?成人男子が必死こいて食いきった量を余裕で平らげる六歳児が?」
『……甘いもの用の胃袋は大きいの』
「諦めろよ!!?」
くそっ、しかしとぼけてるのもむくれてるのも可愛いこいつ…俺の方まで頭や感覚が少し昔に戻ってるらしく、可愛らしさに拍車がかかって見える。
『…じゃあお風呂一緒に入ろう?中也さん』
「………あ?…お前頭大丈夫か?」
『ちっちゃい頃入ってたじゃない…ダメなの?』
「ダメっていうか…絵面がアウトっつうか……」
『…そっか。じゃあいいや…先にシャワーだけ浴びてくる』
「お、おう…?」
どこか、潔すぎるその対応に違和感を覚える。
そしてハッとした。
餓鬼だった頃の俺は、これで踏み込めなかったから甘やかしてやれなかったというのに。
…今のは、完全に俺が悪い。
脱衣所の扉を勢いよく開けて、少女の名を呼ぶ。
「蝶!!!っ、悪い、やっぱり一緒に入…、入……」
『…え、っと…ご、めんなさい……今、その…幼児体型、だからその…っ』
「…目、目のやり場に困るから…タオル、巻いててくれねぇか」
全裸で浴室に入ろうとしていた彼女に、近くにあったバスタオルを差し出す。
以前に行った旅館と同じように、個室に露天風呂とシャワーの付いている部屋なのだが…いや、幼児体型っつっても、こいつ俺が一目惚れした男だってこと忘れてんのか?
『目のやり場って…今私、全然魅力も無いし大丈夫「いいから…俺が普通に接してやれなくなる」…は、い』
壁を向いたままタオルを差し出しているとそれを受け取られ、蝶は素直に巻いてくれた。
「……んじゃ、先入ってろ。俺もすぐ行くから」
『え…?入らないんじゃ、』
「気が変わったんだよ…折角お前から甘えてくれてんのに無碍に出来っかっての」
『……うん…っ』
目を丸くして頬を染め、嬉しさを噛み締めるように言う蝶に、こっちまで照れさせられた。
