第25章 収束への旅路
車を走らせて着いた先で、早速特等席へと案内され、そこへ数々のデザートが運ばれる。
デザートだけでなくドリンク類も充実したラインナップに、俺も蝶も言う事なしだ。
『き、今日は本当に二人だけ…っ、よ、よくこんな部屋入れたね…?』
「まあ、権限だけは持ってっからな…蝶のためという私利私欲の為くらいにしか使わねぇけど」
『…もうちょっと私欲っぽいことに使ってもいいと思うけどなぁ、中也さんって真面目よね?』
「真面目って…これがか?」
彼女の口から語られた、かつての仲間だったマフィア幹部たちの所業を聞いて、えらく驚かされた。
なんというか…梶井レベルで別方向にぶっ飛んだ野郎共の集まりだということくらいしか俺には理解が及ばなくて。
「…一番気になったのが、その…男の死体の真空パック……なんだが?」
『それは多分気にしない方がいいと思うの。蝶そう教えられた』
「お前にそう教えたやつに俺は拍手を送って尊敬する…」
『あの人声うるさいから尊敬はしなくていいと思う…カスだし』
「……今お前カスっつった?」
『うん、カスなんだって。ボスがいつも言ってたよ』
ちょくちょく言葉の端々に伺える口の悪さの元凶はそこか。
どんな組織だよそのマフィア…まあ、悪い奴らの集まりじゃあなかったらしいが。
『あとね、寝坊したら死にますって言いながら毎日目覚まし時計三十個鳴らしてるタコ…おじさんとか』
「…」
『守銭奴とか』
「お前…よくそれで口悪くならなかったな…?」
『考えない方がいいって言われたけど、人に説明する時にはこの方が手っ取り早いって教えられたの』
「な、成程…?……ちなみにそいつらと俺とならどっちの方が強そうだ?」
『!…闘い方が全然違うから何とも……でも、多分中也さんの力なら対抗は出来る』
他の世界の戦闘に対抗できるとは…ありがてぇ異能なことだ。
『私と組んだら怖いもの無しだね』
「…お前、その世界でも俺といる気かよ」
『え?そうじゃないの?』
「……いいや、まあ…その、なんだ。カス…とやらが不憫でならねえってことだけはなんとなく想像がついた。」
まるでどこぞの探偵社の国木田を見ているような気分だ。
『あ…うん、でもあの人ほんとにうるさいの。メガホンで至近距離で怒鳴られてるみたいな』
「どんなレベルだよそれ…」
『私じゃ無理』
