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第25章 収束への旅路


元より俺は、物にそこまで執着したり、何かを引きずるような質の人間じゃあない。

いらなくなったものはきっぱりと捨ててしまう主義でもある。

それでも、もう着なくなったその服を、なくさないようにしまっておいてしまったのは…

『ソフトクリーム久しぶり…っ、中也さん半分こ!』

「お?お、おう…いいのかよ?バニラ好きなのに」

美味いけど。

『チョコも好きだからいいの』

「両方食いたかったんっすね?」

『な、なんでそれを…!?』

「違う味選んでる時点で分かるっつの」

俺もそれを楽しんでるから構わないのだが。
…正確に言うとそれではしゃぐ蝶を見るのを楽しんでいるのだが。

「はーいここで美味しくアイスを頬張ってみましょうか蝶さん」

『?はー「ナイスサービス」…い……撮ったの?』

「バッチリいただいた」

『蝶まだ中也さん撮ってない』

「アイスしか見てねえからだろ、ほら、早くしねえとまた運転シーンに戻っちまうぞ?」

言った瞬間に連射し始めた。
いや、愛ってすげぇわ。

…俺なんかの写真の何がそんなにいいんだか。

いまいち良さは分からないものの、嫌な気分ではないので柄にもなく少し乗り気で被写体になる。
まあ、こいつも欲しがってたわけだし。

『…中也さん、四年でこんなに体つき変わったのね。……無茶な訓練したでしょ』

「!…いいや?そんなことは『じゃあ変に身体追い込んでた…じゃないとおかしいよ、ただでさえ人並み以上のからだだったのに』…」

身体の年齢を戻しただけでも気付かれた。
参ったなこれは、どうにもかなわねぇ。

『…ホントの事言って?ちゃんと寝てた?…暴飲暴食、してなかった?喧嘩ばっかりとか…変にトレーニング詰めたり、任務ばっかりしたり…』

尋問ばかりに徹したり。

「……お前の考えてる通りだよ。…お前がいねぇと、俺に強く言い聞かせて止めてくれるような奴も…止められるような奴もいなかった。それだけだ」

『…首領も?紅葉さんだっていたのに』

「流石にあの時期の俺は見てられなかったってよ…お前の事しか頭ん中になかったんだ、そん時からずっと」

じゃなかったら、服だって…
部屋も、執務室も、もっと一人用に適したものにしてて。

「おかげさまで、異能無しでもこの状態さ…まあ、得るもんはあったらしい」

『…無茶、しないで…ね?』

「…おう、任せろ」
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