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第25章 収束への旅路


近くのコンビニに停めてから、蝶に問う。
すると彼女は、申し訳なさそうな表情でそのお願いとやらを口にした。

『……中也、さんのね…写真持ってない、から……ちっちゃい頃の写真、ほしいの。……だから、中也さんもちっちゃくなって…?』

「…ちっさくって…具体的に何歳くらい?年齢によっちゃ車が運転出来なくなるから、できれば最近の方がいいんだが」

『あ…、じゃ、あ…』

言われて了承すると、蝶によってすこし身体が操作され、どこか身軽になったような気がした。

短くなった髪に、筋肉の落ちた…少年らしい体つき。

…成程、十八といえば、蝶と離れることになる前最後に一緒にいた頃だ。

写真なんか…俺がこっそりこいつの分を撮ってたことくらいしか、なかったな。

『……中也さん可愛くなったね?』

「頭ぐりぐりされてぇか手前?」

『…ぎゅうしたい』

…まあ、いいか。
強請りたくても強請れない時ばかりだっただろうし…何より、多分この身体の蝶は、当時の俺の方を本来御所望なのだろうから。

背中に腕を回して抱き寄せてやれば、少しドキドキしているのが伝わってきた。

俺も、こんなに自分からちゃんと甘やかしてやれたことは、あまりなかったなそういえば。
甘えていいとは言ったものの、自分からそう促すのはどうすればいいか分からなくて…今となっては無理矢理頭のスイッチを切り替えてやっているが、それでも。

『…中也さんの洋服実は持ってきてるの』

「あ?…っ、ああぁ!!?お前いつの間に…って、よく見つけてきたなそんな前の服!!?」

当時来ていた服…今よりももっとラフで、軽い。

能力で勝手に服まで入れ替えられて、結局自分自身、懐かしい気分に打ちひしがれることになる。

…なんというか、今と比べて考えることが少ない平和な時代に戻ったような。

『……中也さんにこうするの好き』

「!…俺もお前にこうするのは好きだぞ?」

『…パパがいたらこんな感じなのかな。……それは無いか』

「お前の父親代理は俺か組合のトップだろ?断念ながらどっちに転んだところで執拗な親バカだ、残念ながらな」

きょとんとする蝶にニッと笑って見せれば、嬉しそうにして彼女もはにかんだ。

『今日一日パパって呼んでみる?』

「年齢的に世間様の目が許してくれねえから…」

『パパ、蝶アイス食べたい』

「買収っすかこのやろう…」
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