第25章 収束への旅路
翌日のこと。
「蝶…お前まさかそれ着ていく気か?」
『?…ダメ?』
「せめて下に何か履いてくれ頼むから…その格好は外では流石に拙い、変態共に攫われる…」
『中也さんが一番の変態さんだから大丈夫だよ』
一瞬反論出来なかったが我に返ってちゃんと言い返す。
「そういう問題じゃねぇんだよ…宿に着いたら好きなだけ着てていいから」
『…中也さんの服がいい』
「……修学旅行ん時に買った服ならどうだよ」
『!!中也さんとお揃いの!!着る!!!』
即答してくれて助かった。
サイズを小さくして合わせてくれ、ようやく目のやり場に困らなくなる。
「おう、その方が可愛いぞ蝶。野郎のもんなんかよりよっぽど似合ってる」
『…似合うかどうかより中也さんのものの方がい「俺の買った服は着たくねぇか?」……恐れ多すぎて…』
あっ、こいつはもう手遅れなやつだよぉく分かった。
どこか冷静になってから、目の前の少女と外に出てから車に乗せる。
『この身体で助手席乗るの初めて…♪』
「シートベルトちゃんとしろよ?あと、高速乗っても速度守るから、到着に時間かかるけど我慢な」
『中也さんって速度守る人だっけ』
「お前乗せてんだから安全運転するに決まってんだろ阿呆」
バイクの時とか結構酷かったような気がするけど…まあ、運転テクニック異常に高いし、スピード出してるところで怖くなんかないのだけれど。
ぽつぽつと漏らしてくれる本音に少し嬉しくなりつつも、それを誤魔化すようにかっこつけて車を走らせる。
…そういや、最近は車に乗ってどこかに出るなんてこともしてなかったな。
チラリと横目で蝶の方を見ると、パシャリと音が鳴って、俺ではなく蝶の方が目を見開かせる。
「……蝶?」
『え…い、いえ、そのこれは…です、ね…?』
「…写真、撮りたかったのか?」
『へ…う、ううん、その……あんまり、持ってないなぁって思っただけで、そんなことは…別に…』
出ました、誤魔化しワードの鉄板、“別に”。
この言葉が出てる時点で誤魔化せてはないものの、本人的には誤魔化したい一心なのであろう御決まり文句だ。
「…撮りてぇなら好きなだけ撮ってろ、運転中でもなきゃ、お前も巻き込まれて晴れてツーショットになっちまうからな」
『!!…あ、あのね?中也さん、…お願い、あるの…』
ブレーキを踏んで、止まる。
