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第25章 収束への旅路


『…うん、行かない…行かないもんね、』

「……俺と出逢ってから今日まで、なんでこうやって甘えられなかった?…甘え方、分からなかった?」

『……わかんなかった…私のにしていいか、わかんなかったの』

「…そうか。安心しろよ、とっくの昔から俺はお前のもんだから……休み、どこか行くか?旅行にでも」

え、と顔を上げる蝶に笑いかける。

「折角なんだ、俺にもさせてくれよ。バレンタインのプレゼント…二人でどこか、羽伸ばしに行こうぜ」

『……中也さん、と…旅行…?……久しぶりの?いいの?』

「いいも何も、お前と二人で行きてぇんだよ俺が」

『…行く…行き、ます…っ』

「よし来た、行きたいところがあったら遠慮せずに言ってくれ。すぐにチケットの手配と周辺のスイーツ情報網羅するから」

どこだっていい。
こういう休暇は、こいつにだって必要だ。

折角家族になれたんだから…折角、お互い家族ができたんだから。
それらしい事をしたっていいじゃないか。

たまには、二人で家族らしいことをしたって……親らしいことをこいつにしてやったって。

『じゃ、じゃあその…えっと、…ど、どうしたらいい…?あ、あんまりそういうの詳しくなくて…っ』

「ぷっ、…そんなに慌てなくていいよ、何がしたいかとか、どの辺の地域に行ってみたいかとかでもいいから」

『え、っと…あ…ぅ…どう、しよう…?』

「…ベッタベタにバレンタイン用のスイーツイベント開催してる地域でも探してみるかァ?」

『!!!そうする!!』

驚くほどに釣れてしまった。
こいつ不審者にお菓子で釣られて誘拐とかされねえかな、今更ながらにすげぇ心配になってきた。

「了解だ。まあ、どうせ俺のお手製デザートも持って出るわけなんだが」

『…中也さんのデザート食べ放題……』

「…そっちの方がいいか?そしたら俺、延々と作り続けることになるから、蝶に構いにくく『旅行しましょ中也さん』おう、その方がいいな、流石だ蝶」

こいつの胃袋満たせる量のスイーツなんか作ってたら一日潰れる。
…いや、潰してもいいけど俺も蝶に構いてぇし?

言ってやれねぇけど構ってねぇと頭おかしくなりそうだし、禁断症状出そうでもう気が気じゃねぇし。

「…スイーツビュッフェとホテルでいいか…ああ、でもお前温泉好きだったよな確か」

『温泉…!』

「旅館だな」

即決した。
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