第25章 収束への旅路
『…中也、さん…これ、恥ずかしい…、』
「プレゼントなのにリボンがないのはおかしいだろ?」
『……リボン、しか…無いよ…?』
「大丈夫だ、俺しか見ねぇから」
服を脱がされたかと思えば、どこから持ち出したのか、幅の広いリボンを身体に巻かれていく。
『こ、こんなリボンどこから…』
「ん?…お前に似合うだろうなと思って」
ここで現在六歳の身体の私は思い出した。
そうだ、彼は変態だった。
それもタチが悪い事に、私に対してのみ異常なほどまでに情欲を見せるという拉致のあかないレベルの。
『…擦れ、るの…くすぐったい…』
「耐えてる蝶も可愛いさ」
『…ッ、鬼…っ』
「今更だな」
キュ、と胸の前で丁寧に蝶々結びにされ、さぞかし満足そうな表情を向けられる。
『…男の人って、こういうのが好きなの…、?』
「人による上に、俺はお前相手じゃなきゃ興味ねえよ」
『……私、今日外に出れない?』
「いいや?この上から服着てもらうから大丈夫だ」
勿論今日は俺の服な、なんて無理矢理言い切る彼だけれども、私からしてみたらそれはご褒美以外の何物でもない。
『中也さんの服…?いいの?』
「逆になんでダメなんだよ?…まあ、シャツと外套くらいになっちまうだろうがな今のサイズじゃあ」
『…二十二歳の中也さんの服、おっきそうだね?』
「……欲しそうな目で見んなよ、今度またいるならやるから」
『本当!!?』
「あーあー、やるからその格好で万歳すんな、見えるから!!」
『?今ぺったんこだからなんともな「ぺったんことか言うんじゃねえよ!!!十分可愛らしく主張してくれてっから既に!!!」な、なんで中也さんがそんなに必死…?』
自分からこんな格好をさせたくせに、変に過保護になる。
「お前が脳まで六歳児モードになってくれてて無邪気すぎるからか、俺の方が緊張してきた…」
『中也さんって緊張するの?私相手に??』
「お前その純粋無垢な瞳でそれ聞くか?……緊張くらいするに決まってんだろ、誰が相手だと思ってんだ阿呆…」
俺が緊張しまくってたら、お前がもっと恥ずかしがって何もできなくなっちまうだろ…?
なんて可愛らしく言ってくれてしまうものだから、こちらの方がキュンとさせられる。
何、なんだこの人、めちゃくちゃ可愛いんだけど。
『中也さん可愛い…』