第25章 収束への旅路
『…誰?あなた…どうしてこの人と二人っきりなの?報告か何かなら、他に監視用の構成員がついているはずでしょう?』
「!!?…え、…あ、あなたは…?」
「は?…はあ!!?蝶!!?」
『…!…前に中也に異能かけた人ね?今度は一体何するつもり?』
「あああ待て蝶、こいつはその謝罪に来ただけで『中也は警戒心が足りないのよ』蝶さん!!?」
相手を床に無理矢理組み敷いて、まずは凶器の類を外し、それからとある小型端末を手に取る。
すると、ようやく自分の状況を確認したのか、女は目を見開いて私の方を振り向いた。
『…へぇ、盗聴器……その反応、知らないうちに仕組まれてたって反応じゃないわよねぇ?』
「ま、って…くださ……!?苦し、…!!」
『何企んでたのかしら?…ねえ、どこまで私に無理矢理白状させられたい?』
バキッ、と盗聴器を破壊して彼女に取り付けられていた端末の数々を壊しきれば、怯えきった様子で白状し始める。
「わ、私の意志じゃ…脅、されて…っ」
『誰に?』
「!!!…、…言ったら、殺される…!!」
『言わなかったら死にもできずに死にたくなるよう苦しめられ続けるだけだけど?』
絶望したような表情で呼吸を忘れたかのように私を見る女。
当然のようにそれを言ってのけた私に、考えがまとまらないらしい。
『いいの?このままだと私が尋問係に名乗り出るけど…死ねた方がマシなんじゃないかしら、まあ白状するなら、あなたの身の安全は保証してあげるけれど?』
「蝶、お前流石にキレすぎじゃ…」
『…ここで殺したら情報が出ないじゃない』
「ヒ、ッ…!!?」
『あら…ごめんなさい、毒なんて仕込んでたのね。私が取っちゃったけど』
自殺でも図ろうとしたのか、女はそれさえも実行できずにいよいよ為す術もなくなってきた様子。
『……自殺を図る時点で、脅された上での実行だなんてのはほぼ嘘よね?脅されたくらいで命捨てられるほど、人間の精神は強くない…どうする?私に尋問されて吐きたいか、私のいるところで自供するか』
悔しそうに顔を歪める女の胸倉を掴んで、顔を近づける。
『言っとくけど、この人に手ぇ出してる時点でどの道あなた…無事なままでいさせるつもりないから』
殺気を飛ばせばそれに気絶する相手。
すぐさま身体を拘束し、身ぐるみをある程度剥いでから首領の執務室へと移動させた。
