第25章 収束への旅路
遠慮がちにその答えを暴露した蝶を可愛がるようにしてまた抱きしめてやると、また肩を跳ねさせる蝶。
「おっ前…何、何なんだ本当に、そんなに好き?あーもう、そういうこと言うようになってもう本当……成長したなぁああっ」
ベッタベタに甘やかす。
いや、もうここまで来たら奇跡的なレベルだ本当に。
いくら分かりやすかったと言っても、言葉にすることなんかなかったし、悟らせてくれるようなことだってしなかったようなこいつが、だ。
親心旦那心、共にもう満足通り越して愛情が溢れて止みそうにない。
『ち、中也さんいきなり…っ、…ね、ねえってば…!』
「いきなりもクソもあるかよ、あーもう生きててよかったあああ…!!」
『そ、そっちはいいけどその…っ、…!!…な、何かしたの?私に…何か能力使った…??こんなに突然体調がよくなるなんて、私の体じゃありえないはずで…』
「!…あ、ああ……それはあれだよ、お前か俺にしてくれたのと同じことをしただけだ」
こちらに顔を向けてから目を丸くし、蝶は何が起こったのかを察知したのか、眉間に少し皺を寄せた。
『……どうやって血…流したの』
「あ?んなもん、手から少しだけ『手、って…中也さんの手…?なんでそんなことして…中也、さんの手は……傷ができるんだよ…!?すぐ治るのは私の体質で、中也さんは』待て待て待て待て!!」
立場が逆になって、ようやく分かった…蝶も、そして俺も。
なるほど…これは、そんな力もっちまってたら………こんな性格に育っちまうわけだ。
「…いいか?俺がやったのは、お前が俺にしてくれてたのと同じことだ。治る治らねえは問題じゃない、どうせ俺のも数日で治る」
『で、っも…でもッ、中也さんが痛いの…!!中也さんの手が…、中也、さんのこと傷付け、るの…っ…は…』
「……これまでの俺の気持ち分かってくれた?…俺も今、お前の気持ちをようやく理解した。今まで、そんなに大事に俺のこと思ってくれてたんだなって…ありがとうな、蝶」
『!!…、…蝶、も……中也さん、治す』
感謝を伝えれば、更に泣きそうな顔になって、蝶は俺に向き直ってそう言った。
蝶に関しては、もう傷を作ることなく血液を採取できる分、お願いしやすくなったから。
処置をしてもらって少しすれば、すぐに俺の身体も平熱へと戻ったのか、楽になった。
