第22章 云いたかったこと
『はぁ…』
思わずため息だってこぼれる。
そりゃあそうだろう…だって、こんな奴が普通の人を好きになんかなって。
何を期待したのか、大好きなんて口にして。
挙句、やっぱり期待するような返事なんかなにも無いのに…分かってたくせして落ち込んで。
ちょっとだけでもよかったの…ほんのちょっと。
貴方と同じが嬉しかった。
『…』
____死にたい…
ぽつりと呟くこの口癖。
どこかの自殺愛好者と同じような…
「!……?」
『…別に私がいなくなったところで……誰も…』
何とも言わないし…思われもしないし。
迷惑かけてるだけだもの。
なんにも役に立てないくせに、愛情にばかり飢えていく。
贅沢にも程がある…いなくなった方が全然マシ。
森さんはあんなことを言っていたけれど、中也さんだって、さっき私に困らされたばっかりなのに。
『……』
いなくなったら、気にしてくれたりするのかな、なんて悪い考えを持ってみたりして。
左手で蝶を舞わせ、拠点の外に移動すれば、そこは前にも来たことのある海だった。
海は怖い…けど、好き。
水は怖いけど、それでも海は大好きなの。
理由なんかとっくの昔に置いてきた。
『…何してるんだろ』
お仕事置いて、中也さんのとこから逃げて。
気を引きたいとか、そんな事…今まで実行したことなんか無かったのに。
思ったところで我慢してたのに…私に我慢もさせてくれないの。
変に甘やかすから、こうなるの。
『……』
「?…君、一人?親御さんのところから離れてきたの?」
『へ…?』
見ると、学生服を来ている男の人…というより、男の子…?
私よりも…多分、中也さんよりも年上。
細く閉じた目でにっこりと私に近づいて、お菓子を一つ紙袋から取り出し、私に差し出しした。
「これ、あげる♪特大サイズのキャンディだよ!」
『あ、飴…?なんでいきなり…私なんかに…』
「何かに疲れている時は甘いものが一番さ…君も好きだろう?甘いもの」
あながち間違いではない。
『…』
「心配しなくても毒なんて入ってないよ…っと、もう一つあげよう!これを親御さんにもあげて、一緒に食べてみなよ!もっと美味しくなるよ♪」
『?一緒に…?』
強引に押し付けられて、私はキャンディを受け取った。
…それにしても引っかかる。
なんで、一緒にって…わざわざ?
