第22章 云いたかったこと
「そんで?悩み事は?」
『え…い、いや…悩みとか全然っ…』
「あるんだろ?…どんなことでも…悪いことだっていい。なんでも言えっていつも言ってんだろ?怖がりなんだから、お前は」
『ひ、ッ…ン……っ…』
耳に息が当たって擽ったい…まだ少しぎこちない、低い声が響いて変な感じ。
「…何が怖い?俺が全部ぶっ壊してやるよ、そんなもん」
『ぁ…っ、怖、いって…ッ……だ、って…中也、さん…が優しく、するから…』
____また独りになった時に、耐えられなくなってしまいそうで。
「………そういう事か…それならもっと早くに言ってくれりゃ良かったのによ?」
『?な、なんでそんなこと…?』
「あ?それならあれだろ?俺が生きてるうちに、どうにかしてお前がちゃんと死ねる方法か…かなりぶっ飛んでるけど俺が生き続けられる方法を探せばいいんだろ?」
言われた言葉に頭の中が真っ白になった。
前者はまだ分かる、それなら…まだ…。
けれど待って?
どんな発想をしたら、後者のような意見が出る?
『……も、もし…もしも、ずっと中也さんが死なない体になる方法が見つかりでもしたら…?…中也、さん…どうするつもり…?』
「勿論、すぐにでも実行するに決まってるさ。お前が怖くなくなるんなら喜んでやってやるよ」
その言葉だけでも、十分だ。
十分すぎた、私には。
頭おかしいんじゃないのって、思ったけど…結局は嬉しかった。
それと一緒に、絶対に教えちゃいけないって…心に決めた。
多分この人は、言ったら絶対にするって聞かなくなっちゃうだろうから。
頭がおかしいくらいに、私の事しか考えていない人だろうから。
『…変なの…ッ、ひゃ、っぁ…っ!!?……っ!?、、!!?』
突然のことだった。
私が一番、何が起きたのか理解出来なかったのだけれど…
心臓が、止まるかと思った。
「……悪い、つい…嫌だったか…?」
『い、…っ、ぃ、え……っ』
頬に触れた暖かい感触…柔らかい心地。
ゆっくりと落とされたそれは…まさか貴方からされる日が来るなんて、考えたこともなかったから。
「…じゃあもう一回…ちゃんと自覚しろよ?俺の一番の大事なんだから…蝶は」
『ぁ…ッ、……〜〜っ、…』
自覚した。
してしまった…どうしよう、どうしたらいい…?
私、この人のこと…中也さんのこと…
好きになっちゃってる
