第22章 云いたかったこと

「それにしても、すごい命中で…手慣れているね？あの動きは」

「あれならとっとと銃渡しといてやりゃあ良かったよ」

「…あそこまで使い慣れているのであれば、自分でいくらかいじるのも好きそうだ……銃を作るのなら、うちの研究チームにも話を通してみた方がいいかもしれない」

『？……中也さん、終わりまし「え、終わったのか！？気遣わずいくらでもやっててくれていいんだぞ！？」い、いやその……的、無くなっちゃって…』

言えば中也さんも広津さんもそちらを向いて、フリーズした。

『……べ、弁償「しなくていい、うん、しなくていいからな蝶…うちにこんなに優秀な銃使いが入るたァ…誰も思わなかったんだろう」え…、蝶、優秀？ほんとに？？』

中也さんの言葉にぱあ、と表情が明るくなるのが自分でも分かった。
褒められてる…？もしかして。

「おう、そりゃもうびっくりするくらいに…」

『ち、蝶もっと頑張って中也さんに褒めてもらう…っ』

「何お前なんでそんな健気なんだよいい子…！！！」

悪い気どころか嬉しさしかない。
こんなにも彼に褒められたのは初めてだ。

…なんで、この人に褒められるのがこんなにも嬉しいんだろう。
なんでもっともっとって、関わっちゃうんだろう。

＿＿＿どうせまた、離れなくちゃいけなくなるのに。

『…』

考えるのと一緒に、緩んでいた表情が固くなる。
ああ、いけないこれじゃあ…いい子でいなくちゃ、中也さんと一緒にいられない。

「蝶？…とりあえず執務室に戻るか？仕事しに」

『！は、はい…えへへ、中也さんのお仕事手伝うの…』

「広津さん、俺悶え殺されそう」

そう、お仕事手伝って、危険から守って……じゃないと、貴方に恩を全然返せない。
せめて、貴方が生きてくれているうちに…私はこの大恩を、貴方に返さないといけないのに。

廊下に出て広津さんと別れて歩いていくと、最近は少しずつしか会うことのなかった人物に出会した。

「お？…中原に、白石か……久しぶりだな」

「おお、織田じゃねえか！仕事終わりか？」

｢そんなとこだな……？…白石？｣

『！…何？』

あの目に見つめられると、どうしても抗えなくなる。
自分の深いところまで見透かされているような気さえして。

「……またお前、無理してるな？さては」

『！？何言って…ｯ、…』

「無理…？」

中也さんに、聞かれた。