第22章 云いたかったこと
『……ッ!!!…楽しい…っ、広津さん!!これ!これ欲しいです!!』
「驚いたな、もうそれを使いこなすだなんて……その型は武器庫にいくらでも置いてあるから、いつでも使って構わないものだ」
『本当ですか!?…久しぶり…♪』
「……広津…さん、俺は……何を見てるんだ?これは。女神か?女神を見てんのか?」
「落ち着きなさい中也君、君が見てるのは蝶ちゃんだよ」
「ああそうか、分かった、天使か」
「……」
広津さんと何かを話している中也さんの方に向いて、笑顔で手を振る。
銃を持ったまま。
「…なあ、あそこに天使がいるんだ…広津さん。……なんで銃持ったままあんなに手ぶんぶん振ってんのにあんな可愛いんだあいつッ!!?」
「これは銃をプレゼントでもしたら彼女、喜ぶことは間違いなし…か…」
「広津さん、俺職権乱用して銃作るわ。手伝ってくれよ」
「……まあ、君からのお願いというのも珍しいもの。いいでしょう」
手を振り返してくれた中也さんにもっと嬉しくなって、動き回る的を次々に破壊していく。
久しぶりだ、本当に。
片手分しかないというのが違和感を生んでしまいはするが、それでもあるのと無いのとでは全然違う。
『中也さんの敵が一人…暗殺者が一人、狙撃手が一人…♪』
「蝶?それ的だからな?物騒なこと口にするのやめようぜ、顔に似合わなすぎるから」
『へ?だ、だって殺さなきゃいけないじゃないですか、そんな奴ら…』
「訓練中に俺に刺客を作るんじゃねえよ!!?」
『ご、ごめんなさい……』
少し俯いて反省した。
そうだ、これはあくまでも訓練なのに…そんなところで勝手に中也さんをいいように使って、何してるんだろう。
していいようなことじゃない。
少し考えてから、また狙撃を始めていく。
『……敵が………中也さんを狙う前に息の根を「分かった、もう分かった好きにしろ…」!!私、中也さんのこと守る!!』
「おう、頼もしい………広津さん、俺あいつには勝てそうにねえんだけどどうすればいいと思う?健気すぎてよ…」
「…それほど君といれるのが嬉しいんだろう……微笑ましいことじゃないか。大事にしてあげればそれでいいだろうと思うよ」
「………俺一生蝶のこと大事にする…普段は勿論、死にかけてても、怒ってても」
「中也君…プロポーズじゃあないんだから……」
