第22章 云いたかったこと
「な、中原さん!?あなたさっきまで意識が「黙ってろ担任…空気読めねえか?手前…」!!!」
「……中原、さん…?」
「まずそのふざけた格好からといてやるよ…」
サバイバルナイフで、躊躇いもなく相手の被り物を振り払う。
それで掠ったのか、少し頭から血を流す柳沢。
「…!柳、沢…やはり、貴方か」
「『!!!』」
しかしここで、殺せんせーからの一言に、私も中也も目を見開く。
その隙に、いつの間にか私の壁を破って出てきていたもう一人の人物が、柳沢の体を抱えていく。
「!?な、っ、待て!!!てめっ…『ちゅ、うやさ…ッ』!…お前、またやっただろ!!?なんでんな無茶ばっかり…俺は生きてたのになんで……っ、それに今なら俺があいつを…!!」
『あ…み、んないるから……ダメ…やる、なら……今は、ダメ』
私が銃を使っただけでもこれだ…目の前で殺すのは、やめておいた方がいい。
それに…
「…悪い……お前への配慮が足りてなかった」
『へ…ッ、…あ……』
怖かったから…生きててくれて嬉しかったけど、何よりも怖かったから。
安心できるまで、ちゃんと傍にいて欲しいから。
「………おい、担任。手前あいつの知り合いか?…何を知ってる、全部話せ…知ってること全部だ」
「…どうしてあなたが彼のことを?……私が知っているのは、彼が天才的な科学者であることくらいのものだ」
「……嘘は『やめて…吐かないよ……殺せんせーは…』…あいつの手先だったらどうすんだよ」
それは無い。
だって、柳沢は私の知らないところで、糸成君を使って触手の研究をしていたのだから。
その要素を多く持っているのが殺せんせーなんだから…
『私、分かっちゃった……殺せんせー………先生、私と…』
____一緒だったんでしょ…?
言えば、先生の表情に冷や汗が滲む。
「一緒…とは………、どう、いう…?」
『……私に…言わせ、ますか?それ…』
泣くな
『先生、頭いいのに……分かってくれない…ん、ですか……』
困らせるな
「…白石さん、あなた……柳沢とどんな因縁が…」
『……だから…一緒…ですって……』
怖がるな…震えるな
『わ、たし……あいつの…………ッ、…?…ちゅ、うやさ……っ』
「……悪い。…少し寝てろ」
彼から落とされたのは優しい口付け。
そして…
『な、んで…?』
首への手刀。
