第22章 云いたかったこと
「蝶ちゃん、シロに何を…」
『こっち来ないで!!!』
「……良いのか?貴様の友達ごっこに付き合ってくれていた心優しい奴らだろう…そもそも貴様は『黙れ…っ、あの人に何したのよ…!?』…っ、はは、そう怒るなって…ただ、ちょっとした劇薬を打っただけさ。邪魔だったからね…あの化け物じみた力が」
頭にきて、今すぐ殺してやろうかと思ってた。
けれど、今こいつは何と言った?
劇薬を打った…?
それはつまり、死んでる可能性があるってこと…?
『…!!殺せんせー!!中也は!!?』
「へっ!?ちゃ、ちゃんとここに『息は!!?心臓は!!!?』動いてますし正常です!!!」
「!なんと……はっはっは!!これは面白い!!その男…遂にそこまで堕ちたか!!!……なあ、化け物…“これ”はてめえの仕業だな?」
『仕業も何も関係ない…っ、あんたは、絶対私が「遂にあの男まで化け物に成り下がったか?…っくく、……こんな所でこうしている場合か?“俺の作った”劇薬だぞ」…っ、~~~!!!』
悔しいことに、安心できるようなものじゃあない。
それに、これでも長い付き合いだ…言わんとすることなら分かっている。
「…痛いじゃあないか……随分と反抗的になったものだな」
『黙れ…妙な動きでもしたらお前なんか地獄送りにしてやるわ』
柳沢の手を氷で凍結させて動けないようにし、近くにあったアタッシュケースごと中也の元へと移動した。
柳沢を連れたまま。
「!!白石…っ、そいつ…」
「……本当に息がある…何故死んでいない?……っと、おいおい、物騒なことをするなよ…ただでさえ君の悪いその見た目なのに、余計に酷いことになってるぞ」
『…御託はいい……解毒剤は』
「無……ッ、…はは、どうして実弾なんか持ち歩いてるんだよ…」
私の敵は殺せんせーではない。
ただの人間には、こっちの方がよっぽど効く。
柳沢の脚を迷うことなく打ったからか、周りでざわついていた子達も一瞬で静かになった。
「まあいい…どうせ解毒剤などなくても、貴様がなんとか出来るんじゃあないかと思ってな」
『殺すつもりで打ったんでしょ…っ、やっぱり、前に会った時に殺しておくんだった!!!お前なんか…っ、え…!!!?』
静かに、柔らかく…口をおさえられた。
どこか間抜けな触手の感触に。
殺せんせーの手によって。
「…落ち着いて下さい」
