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第20章 家族というもの


「そんでもって蝶、お前今日はデザートの方は頼まねえのか?珍しい」

『中也のカップケーキ食べたから…』

「お前がカップケーキ一つで満足するとか想像つかねえんだが…?」

『中也のカップケーキ限定です~』

立原は知らないで提案したのかしら。
私が、あの人のカップケーキが死ぬほど大好きだってこと。

「なんでそんな……そんなに言うほど特別好きなもん今まであっ『中也』それは無しだよ!!」

『…私がね、横浜に来て初めて食べれたちゃんとしたもの、中也の手作りのカップケーキなの。消化不良とか食欲不振とかでまともに形のあるものとか口に出来なくて』

「そんな時期にカップケーキ…?あの人お前の事殺す気かよ」

『……強引に名前つけられて、それと一緒に誕生日まで決められて、そのお祝いだってさ。ろくに料理したこともなかったのに、無理言って作り方教えてもらって、私に隠れて作ってたの』

十四、五の餓鬼がする発想か!?
と盛大に驚く立原。

そんな様子に私も困ったように笑ってしまった。

『ほら、あの人頭おかしいから…でも気に入ってるんだよ?名前も、誕生日も。誕生日なんてひっくり返したら中也の誕生日になるんだもん』

「え、ひっくり返し……ああ、そういうことか。…………ってそれ凄くね!?狙ってねえよなあの人!!?」

『さぁ?狙ってないんじゃない?流石にそんな事』

「……もし狙ってたとしたら?」

『お洒落。ロマンチック。もっと好き』

「なんなんだあの人のスペックの高さ…」

そんな人の一生を奪ってしまっていいのだろうか。
あんなにいい人の人生を、変えてしまっても。

『…!そういえば立原は誰かいないの?そういう…気になる女の人。銀さんとか樋口さんとかさ』

「なんで俺が興味あるんだよ、ねぇに決まってんだろ阿呆」

『なんでうちの組織の人間って皆そんなかなぁ……いないの?一人くらい。立原だって、言っても一般人なら学生とかそれくらいの年齢でしょ?』

「……まぁ第一印象こそ最悪だったが、お前はそこらの女よりも綺麗なんじゃねえの」

は?と思わず腑抜けた声を出して、固まった。

少し目を逸らして言った立原は笑っていて、なんだか余裕そうで少しムカついて。

『な、に…新手の嫌がらせ……?』

「いや?素直に言ってやっただけ。小生意気だけどな」

『…明日の訓練五倍』

「鬼かよ!!」
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