第20章 家族というもの
フランシスさんはまだ日本を満喫していくそうだけれど、組合メンバーの一部はそろそろ本国へ帰国するそう。
文化祭が終わってから、トウェインさんからそう聞いた。
そしてそれは勿論、トウェインさんも例外ではない。
「寂しくなるねぇ蝶ちゃんと会えないだなんて…」
『そうですね』
「ああ、やっぱりそう言うと思っ………え、蝶ちゃん今なんて?」
『何?もう二度と会いたくな「ごめんなさいありがとうございます!!!」…もう』
後片付けを終えて教室を元に戻しきり、放課になって、残りたい人だけ残っている。
横浜から来てくれた人達はほとんど私の能力で帰ってもらい、残っている人といったら…気を使ってくれているのか、中也と立原、それと太宰さんくらいのもの。
『けどトウェインさん、それ前も言ってたけどさ?私いつでも会いに行けますからね?』
ちゃんと分かってる?と確認するように聞き返すと、何故だか目を見開いてから少し後ろに下がられた。
「え……、と…」
『…何』
「いや、気分悪くしないで!?分かってるから!!…いや、その…こういうやり取りするのも、楽しかったなって…」
『なんでそんなにしんみりするかな…ああ、じゃあ連絡先教えてあげれば大丈夫?私用の携帯』
「え…えっ!?いいのかい!!?」
いいも何も、私から提案してるのに。
というかしたいなら早くしてくれないと、こっちまで変な気分になってきちゃうじゃない。
『欲しくないならあげません、二度と』
「いる!!欲しいです、是非!!!……っ、ははっ、これでいつでも蝶ちゃんにラブコールでき「あぁ?」ごめんって中原君…怖いボディーガードさんな事だ」
さっさと連絡先を交換して、それに思わず頬を緩める。
『何かあったらいつでもかけてきていいからね…困ったことがあったら、多分ちょっとくらい力になれるから』
「…蝶ちゃん、お願いが一つだけあるんですけど…………いいかな中原君?」
『?お願いってな「俺は暫く何も見てねえから安心してとっとと母国に帰りやがれ」中也、何言っ…て……』
くる、とこちらから背を向けた中也に困惑する間もなく、思考が停止した。
ふわりと、しかし力強く、しっかりした腕に抱きしめられていた。
いつもの中也とは違う、トウェインさんのにおい。
『…あ、の……?』
「…っ、ごめんね…ちょっと、やっぱり僕寂しいや」
