第20章 家族というもの
「あーあー、結局まぁた中也にいいとこ持ってかれた……ケーキはずるいでしょうケーキは」
「ケーキなんて最強じゃないか、あんなに強い蝶ちゃんホイホイって他に無いよ」
「太宰さんもトウェインさんも懲りないねえ?いい加減分かってんでしょ、最大の蝶ちゃんホイホイは中也さんだって」
「「カルマ君は大人だよぉ…」」
中也にいいように蝶ちゃんを攫われてしまってから、私はトウェイン君と嘆いていた。
そんなところに、普段なら蝶ちゃんの傍にいるはずのカルマ君がやってくる。
だいたいいつも学校なら蝶ちゃんと一緒にいるのにな。
「あんたらが子供なだけでしょ、とっとと蝶離れしなよいい大人なんだから」
「とか言って一番悔しいの君でしょどう考えたって」
「悔しくないよ?だって相手が格上すぎんだもん、無理だってあれは」
「…カルマ君、君いったいいつか「ああ、勘違いしないでね太宰さん、俺どっちかっていうとあっちよりの方だから。一緒にしないで、阿呆に思われるの嫌だし」阿呆って君ねぇ」
カルマ君の指さしたのは社長や組合の頭さん、そして森さんのいるところ。
あーあー、やっぱり撤回だ、まだまだ青いなぁこの子も。
中学生らしいといえばらしいけども。
後片付けが始まるも、教室の中でいい感じに二人で幸せそうにしているのを見てか、誰もそちらには悟らせまいと動くばかり。
本当、いい友達に恵まれたみたいで何よりだ。
「皆中也の邪魔しに行かないんだね?いい子達…」
「そういう太宰さんは行かないの?」
「あれ、そこ聞く?……あの子があんな表情してくれちゃってるのに、邪魔なんてできないよ」
「そういうところは大人なん……?あれ、またお客さん?」
カルマ君が人影に気付いてそちらを見ると、相手に気付いた人物が真っ先に声を上げた。
「か…っ、母さん!!?」
「!…ああ、あの女性が渚くんの……成程?」
自然に。
無意識に、心が冷めていくのが分かった。
その人にはその人なりの理念や環境があっただろうし、考えを否定しようとは思わない。
けれど、私は知らないわけではないからね。
「……太宰さん、怒ってる?」
「ええ?そう見える?やだなぁ、私が女性に怒るだなんてことあるわけないだろう」
「…目、笑ってないけど?」
「おやおや、これは失礼」
怒ってはいないんだ、ただあの子を困らせたくないだけで
