第11章 縁というもの
「気にしすぎなんだよ、確かにまあまだかなり子供だが」
『慰めてるのそれ?ねえ』
「…子供に見えもするけど、やっぱ雰囲気が落ち着いてんだよ。ここの店にもなればだいたいが分かる奴だし、まあ餓鬼には見えねえさ」
雰囲気が落ち着いてるって、それ多分違うよね。
落ち着いてるんじゃなくって、緊張して大人しくならざるを得なくなってるってだけだよね。
「それにほら、手繋いでたからか今日は“そういう風に”見られてただろ」
『そ、れは…まあ……』
「な、安心しろって。他から言われたら腹は立つが俺もあんま歳相応には見られねえし、気にする事じゃねえよ」
『中也さんも童顔だも「なんか言ったか?」やっぱり怒るんじゃん…っ』
頭をガシ、と掴まれてググ、と圧を加えられた。
酷い、私に言う時は言うくせして…ていうか私子供だから仕方ないんだけど、自分が言われたらやっぱり怒るんじゃんか。
「怒ってはねえけどな?怒っては」
『手!頭割れますってこれ…!』
「…まだ二十二だから、これでもまあいいだろ。そんなまだ歳とってるわけじゃねえし」
中也さんの手から力が抜けて、圧から解放された。
それにしても二十二歳かぁ…
『二十二歳って、考えてみれば若いんだね。高校卒業して、ストレートでいけば大学四年生か』
「なんだ?歳いってるとでも言いてえのか?おい」
『そういうのじゃないんだけど……車行ったら話すよ』
何かを察したのかそうかと言いながら軽く頭を撫でて手を離した中也さん。
お店の中だっていうのに。
嫌いじゃないけど。
手続きを済ませ、本当に中也さんはシルバーリングを購入してから、車の中に戻ってきた。
まさか本当に自分用のシルバーリングまで買っちゃうとは思ってなかった、この人まだ二十二だよね?
なんていうか本当、大人だなぁって私が思わされるところもある。
『そうだよ、中也さんが大人っぽいから二十二歳の感じが分からなくなるんじゃない』
「あ?なんだよ大人っぽいって」
『やることなすこと一々大人なんだもん。……私ね、こんな体質のせいだからか分からないんだけど、二十二歳とかくらいにまでなると成長止まっちゃうんだよね』
運転しつつ、中也さんの眉がピクリと動く。
『実質二十歳くらいからはほぼ見た目が変わらなくなっちゃうの。歳とるって感覚があんまり分からないんだ』
