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第11章 縁というもの


「じゃあデザインの…」

『……中也さん「ちょっと待ってろ」…』

「一ヶ月半くらいなら…はい、お願いします」

店員さんと向かい合わせに座りながら流れるように段取りが組まれていく。
一通り見て回りはしたのだけれど、まあ想像していなかった事態が発生した。

店員さんが席を外してから、今度こそ中也さんに話しかける。

『…………オーダーメイドとか聞いてない』

「言ってなかったからな」

『それもシルバーって言ってたのにプラチナとか…ピンクゴールド入ってるって言ったよね?』

「ああ、そうだな」

『そうだなじゃなくて…ねえ、流石に申し訳ないから半分出しても「絶対ダメだ」そんなぁ……』

意地でも引いてくれないのが中也さん。
こういう時本当に頑固、絶対私にお金払わせてくれない。

「いいじゃねえか、気に入るデザインにしてくれたんだ」

『それはそうだけど…私にはかなり勿体な「くない」ああもうほんっと私バカ…!』

ただし店員さんが目の前で色々と出してくれていたデザイン案というのが気に入ったというのは本当で、仕上がりもかなり期待が出来そうなもの。

というか本当にいいお店じゃんここ、ランクがおかしいよランクが、なんで中学生連れてきてんのこんなとこに。
絶対店員さん怪しんでるって。

「早けりゃ二週間程度だとよ。それまでどうすっかな…ああ、それまではシルバーにしておこう。今お前が持ってるやつと同じやつ」

『え、同じデザインとかあるんですか』

「あるぞ。あれ、この店で頼んだやつだしな」

『中也さん、私何歳だと思ってるのねえ』

蝶さんは大人の女性ですから下手なもんは贈れませんて、と茶化される。
下手なもんはとかいうレベルじゃないでしょ。

シルバーの方でも結構いいものなんじゃ…と、恐る恐る中也さんがカタログを見ながら指したリングを見てみると、まあとても八つか九つくらいの子供に持たせるような可愛らしいものではなかったわけで。

イリーナ先生がちょっと気にしていただけあるな、流石の私でもまさかシルバーでそこまで本気で購入してたとは思ってなかった。

「どうしたよ、今日は子供じゃねえって言わねえんだな」

『だ、だって今子供だし…』

「でも今日お前、誰にもそういう目で見られてねえだろ」

『!…それは……奇跡的に?』

首を傾けて言い返すと、はあ、と溜息を吐かれた。
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