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第11章 縁というもの


探偵社の事務所を出てから外に出ると、うずまきの中にいた皆から大きく手を振られた。
何なのだろう、この、上手くあしらわれている感覚は。

一礼だけしてから中也さんの車に乗り、詳しい行き先は知らないのだけれど指輪を買いに向かう。

しかし車に乗ったところで気が付いた。

『ち、中也さん……あの、こういう指輪って、前から頼んでおかなきゃサイズが合わなかったりするんじゃ?』

苦笑いになって聞くも、中也さんは特に気にしていないのか平然といや?と答えた。

「前から頼んでおくも何も、お前と俺の分のサイズがあるのはもう確認してっから」

『え、待って中也さん、私でも知らないのになんで中也さんがサイズ知ってるの』

「見かける度にどのタイミングで買おうかとか考えてたからな。ただしお前はまだこっからちょっとサイズがでかくなるだろうから、一回りくらいでけえのだぞ」

『いや、だからなんでサイズ知って……ああもういいや、聞くのも怖くなってきた』

というか無性に恥ずかしくなってきた。
見かける度に考えてたとか何なの、初耳なんですがそれ。

「…お前がその指輪、大事にしてくれてたからな。再会した日から気にはしてた」

『!……え、っと?』

「お前が成長してんの見てから本格的に意識し始めてたっつってんだよ、分かれ」

『そんな無茶な…ってそんな時から?私てっきりそういう魅力は無いものかとばっかり「いやマジでごめんその辺は、なんなら殴ってくれてもいい」なんでそんないきなりネガティブになるの中也さん!?』

私の身体の年齢がまだまだ子供だったから。
中也さんは、私が中也さんの事を好きだというのはどこかで気付いていたと言っていた。

中也さんは変なところで私に対して慎重だから、大事にしすぎて見て見ぬふりをしていたのかもしれない…ああ、そういう事か。

必死に隠されてたからわからなかったんだ、私がちゃんと意識してもらえてるってこと。

「い、一応そっちの指輪本体をやった時だってそんな風に考えて贈っちまったようなもんだったんだが…」

『え、嘘、それ知らない』

「……お前の方こそ本物の鈍感だよ、俺がいつからお前に見惚れてたか知らねえだろ」

『し、知らない…ってこれがそうなら中也さんのも買えばよかったのに』

「まだそういう関係じゃなかっただろ。とりあえず一つ目、今日ちゃんと買うから」
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