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第11章 縁というもの


考えてからの私は早かった。

「よし、谷崎君。あのチビに連絡だ、私は連絡をしたくはない」

「ええ!?僕ですか!!?な、なんて連絡を…」

「傷心中の嫁を放っておくんじゃない、いっその事もう何も考えられなくなるくらいに好きなだけやってしまえ、ていうか見てて焦れったいからとっとと最後までやっちまえ」

「「何をですか!!?」」

いいから、と促して無理矢理谷崎君にメールを打たせる。
本当、蝶ちゃんも蝶ちゃんでよくそんな状態で淡々と仕事をこなしていたものだ。

第一中也がいれば安心なんだから、ずっと傍にいてやればいいんじゃあないか。
そうだ、もういっその事、彼女の仕事を国木田君に押し付けてしまえばいい。

というかそもそもあの子の仕事は学校生活であって、今はあの子の善意で我々が本来するはずの仕事を手伝わせているに過ぎないのだから。

「まったく、あいつは何をしているんだか…あれじゃあかなりマフィアの方では気を張ってるだろうに。自分の事なんか考えちゃいない」

「気を張ってるって、なんでまたマフィアの方で?中原さんがいればそんなに気にするようなことないんじゃあ…」

「ポートマフィアの内部に敵らしき人物が入ってきちゃったらしくてね。中也に何かしでかすんじゃないかってずっとピリピリしてるんだよ」

えっ、と声が上がる。
そう、問題はそこなのだ。
自分の事で悩んでいるのであればまだ何か声をかけてもやれるだろう。

「あいつと一緒にいるのが一番なのだよ、何かあった時に守ってもらえるだろうし…守れるだろうし」

「そういえばあの二人って二人共おかしいくらいに強いですけど、実質どっちの方が強いんですかね?」

「今やると分からないねえ…まあでも、単純な力じゃあやっぱり中也かな。あとあの重力操作は便利だし。ただし蝶ちゃんに抱きつかれでもしたらころっと負けちゃうよあいつは」

けっ、羨ましい、というかずるい。
互いに不安要素があるのであれば、もうずっと一緒にいてしまえばいいのだ。

そうだよ、それが一番いいじゃあないか。
何せあの二人が一緒にいて誰かにやられてしまうだなんてこと、どう考えたって有り得ないのだから。

「あ、連絡返ってきました。言われなくとも今年は長期休暇を取ってある、仕事の邪魔にならねえんなら今から行く…この文面は太宰だろ、太宰だな、お前も苦労して…ってこの人いい人!」
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