第11章 縁というもの
『…とりあえず私の話はこれでいいとして、皆さん流石にダラダラしすぎでは……一応私と敦さんはお仕事終わらせて来てますけど』
「探偵社のビルにこんなお店があるのが悪いんだよ」
「こうしなければならないと言ってるんだよこの建物が」
一向に動く気配のない皆に私も敦さんも苦笑い。
まああんなに規模の大きい戦いの後にもなると仕方ないか、基本ダラダラするの皆大好きだし。
「そういや、蝶はここに来ることあんまりなかったねえ?」
『私は頼み始めたら在庫無くなっちゃう可能性があるんで、だいたいは紅茶を飲みに来てますね』
「ああ、確かにすごい量だった…」
「あれ、でも行きつけのお店なかったっけ?あの蛞蝓がもっとちっとゃい頃から通いつめてるとこ。今も行ってるの?」
太宰さんからの問いにはい、と答える。
数日に一度は必ず…多い時は毎日行く。
あの店はまあ、最早行き過ぎて私用に在庫もいっぱい用意されてあるから、心ゆくまで食べる事が出来る。
後あそこ以外に最近気に入ってるのはやっぱりkunugi caféだろうか。
うずまきは出社した時にちょこちょこ来るなぁ。
『まあ、あそこは第二の家みたいなところですし…第二、うん……第三かな』
「ん?三番目…一番目はチビの家だとして、二番目は??」
『あはは、中也さんの家が一番目でもいいんですけどね。内緒です』
流石の乱歩さんでも、そういう概念自体が頭の中に想像出来なければ分からないだろう。
別次元の世界に私の家があるなんて…親がいるなんて思いもしないだろうから。
「そうか蝶ちゃん、もしかしてあいつのところなんかよりも私の元が『はっ倒しますよ』そんなところも可愛いいい!!」
『あーはいはい、ありがとうございます』
「冗談じゃないのに」
『もういいですってばその親バカ……太宰さんなら兄バカ?もー、ちゃんと本家を見習って欲しいですよ、中也さんも首領も…』
「!……いや蝶ちゃん、彼は恐らく誰よりこんな感じだったと思うよ?それで私も、癪だけど中也も影響されて今こうなってるんだから」
太宰さんからのまさかのカミングアウトに目が点になる。
え、影響されて?
中也さんや太宰さんでも大概なのに…ていうかたまにしつこいくらいなのに。
拝啓、本家私のお兄ちゃんこと織田作さん。
初耳なんですがそれは。
…私の前でもしていて下さいよ。
