第11章 縁というもの
「一気に仕事が出来る大人って感じですね、中原さん」
「あいつは書類仕事も速いからねぇ…蝶ちゃんのために仕事と心中してるような奴だし」
『万年筆ならブランドもありますし、使ってもらえるし…うん、そうしよう。それと一緒にお酒でいいや』
「「「未成年がお酒を購入するんじゃありません!!!!」」」
未成年にお酒飲ませたのはどこの誰よと言いかけてやめた。
お酒いいと思うんだけどなあ、幹部昇進祝いって口実つけて…ああ、でもそれもつけると指輪の値段超えちゃう可能性あるしやめといたほうがいっか。
『……じゃあ万年筆にとどめときます』
「うん、そうしておこう。中也に酒なんか渡したら一生飲んでもらえないよ?多分蝶ちゃんからのやつなら家宝にするとか言い出すから」
「「「うっわぁ、想像つく…」」」
ごめんなさい中也さん、私も心の中で同じこと思いました。
お酒…はなしで万年筆。
うん……いいような気はする。
でもなんというかこう、物足りない……
「ふむ……蝶ちゃん、君は彼が一番喜ぶものが何か分かっていないようだったね?」
『!は、はい。趣味のものはだいたいもうあげられませんし…万年筆だけっていうのもちょっと寂しいような気がして』
「そんな蝶ちゃんに、彼が一番喜ぶものを教えてあげよう!」
乱歩さんの声にぱあっと目の前が明るくなった。
超推理素晴らしい!こんな活用方法があっただなんて流石乱歩さん!!
『持つべきものは頼りになる優しい名探偵ですね!!で、何がいいんですか??』
聞いた私に対して、周りから一斉にえっ、と声を漏らされた。
嘘でしょとか冗談だよねとか、なんというかまあ…引き攣り笑いで馬鹿を見てるような目で見られる。
え、嘘。
私にわからないのになんで皆が分かってるの。
「えっと、うん。分かってないだろうから言っちゃうね?蝶ちゃん」
『は、はい!』
「君、お返ししたら、その日の夜に自分から中原君にキスしてあげればいいよ」
『はい!勿論しま……え、なんて言いました?』
勢いで頷きかけた。
他の人は揃って乱歩さんに、なんで言っちゃったのというような目を向けている。
待って、なんでキス?キスとか散々あの鬼から…
「プレゼントは〜……わ、た、し?」
『嘘でしょ………え、お酒より私ですか』
「「「間違いない」」」
『わあぁ…あはは、考えときます』
