第29章 特別編 天は大野のケツよりも青く
「翔ちゃん?」
「な、なんでもない…」
ちらっと俺の方を見ると、またドアの方に顔を向けた。
「…ごめんね…?智くん…」
「はあ?」
「いや、その…ホントはニノと寝たかったよね…?」
むんずとなで肩を掴んで、こっちを向かせた。
「なにいってんだ?」
「ほえ?」
「ほら、寝るぞ」
掴んだ肩を引き寄せて、ずんずんベッドまで歩いた。
「さ、智くん…」
「さあ、寝よう」
「で、でも…」
なんかまだぶつぶつ言ってるから、クローズライン※をかましてやった。
ばふっとベッドに倒れ込んだ翔ちゃんの上に、フロッグスプラッシュ※を決めた。
「ぐえぇ」
「さあ、寝よう」
「も、もう…」
ぎゅうって俺のこと抱きしめて、ふうって息を吐き出した。
「…ありがと…」
とくんとくん…翔ちゃんの心臓の音が聞こえる。
「感謝するのはいいことだ」
「ん?」
「ありがとうって思えるとさ…周りに人が居るんだって、気づかない?」
「え…?」
「一人で悩んでるときって、ありがとうって他人に思えないじゃん?」
「う、うん…」
「そう言えるってことはさ…ありがとうって言えるってことはさ。翔ちゃん、俺たちのこと…ちゃんと居るって気づけたんだね」
「智くん…」
※…プロレスの技。のさおばさんは故エディ・ゲレロのファンである。