第15章 タイガーリリー
夕食を食べ終わって、二人で風呂に入る。
脱衣所で全裸になった和也の背中を眺めた。
「なに?」
洗面の鏡越しに目が合った。
「なんでも」
微笑むと、俺の手を握る。
「入ろ?」
にっこり笑ってバスルームの扉を開ける。
襲ってくる記憶の波
歯を食いしばって叫び声を堪えた。
身体が震えて、汗が全身を覆う。
クッションを掴んで、なんとか堪えると吐き気と頭痛が襲ってくる。
全て、思い出した
涙がとめどなく溢れてくる。
夕日が、リビングを照らしてる。
薄暗くなっていく部屋と俺の意識を感じながら、それでも俺の頭は回り続けてる。
この二ヶ月の記憶と、思い出した欠落した記憶が交互に俺の頭の中に再生される。
細切れの映像。
細切れの声。
そのどれの中にも、和也は居た
和也は…居るんだ…
目を閉じると、片方だけ刺さったままのヘッドホンから聞こえてくる音楽
”あれもこれも欲しくなった欲望に襲われた僕には”
「ああ…和也…」
”もう一度君に笑顔を…?”
「和也っ…」
”声を聴かせて 忘れられるよう…”