第15章 タイガーリリー
俺の記憶が戻ってきた。
過去のニノの記憶も全て回復した。
だけど…今年の7月からの記憶は戻ってこなかった。
「そっか…思い出せないのか…」
まだ少し目眩がするからベッドに寝たままニノと話をした。
徐々にはっきりとしてくる記憶。
ベッド際に座るニノの身体が震えていた。
「…どうしたの…?」
「翔……翔ちゃん…」
俺を呼ぶ、切ない声。
「え…?」
「ここ数ヶ月のことは…覚えてるの…?」
「え…?」
「俺と…その、一緒に過ごした記憶は…」
またずきんと頭が痛くなった。
記憶が混濁してる。
「ちょっと…待って…」
「翔…!頭痛いの?」
「う…ちょっと待って…」
え…なんでニノ家にいるの?
なんで俺のパジャマ着てるの…?
なんで…
なんで…?
頭を押さえて痛みが過ぎるのを待った。
「翔…」
ニノの手が俺の頭に載っていた。
「落ち着いた…?」
見上げると、涙を流しながらニノが俺を見ていた。
「病院、行こう…?」
そう言って袖で涙を拭いて立ちあがった。
ぱたぱたスリッパの音を鳴らしながらニノが寝室を出ていった。
「え…ちょっと待って…」
痛む頭を押さえながら起き上がった。
寝室のドアに向かって、歩く。
待って…待って…待って…