第15章 タイガーリリー
「う、うん…」
いや、すっごい近いんですけど…
ニノはグレーのパーカー付きのトレーナーに、Gパン、そしてキャップを被ってる。
そのキャップを取って、俺の手を握った。
「えっ…なにっ!?」
「翔ちゃん…」
「う?え?」
「俺と翔ちゃん、付き合ってるんだよ?」
え?
「いや、嘘だろ…」
「嘘じゃないよ…翔ちゃんと俺は恋人同士だったんだよ?」
「やめてくれよ…」
だって、ラインのトークやメールも全部見たけど、そんな会話一個だって出てきてなかったぞ。
「俺、スマホとか全部メッセージ見たけど…ニノとそんな会話してるのなんか、一個もなかったもん」
「…そりゃそうだよ…俺達が付き合ったのは、翔ちゃんが事故に遭う前日だよ?」
「ええっ…」
「お互いの気持ち確かめ合って…だから、まだ手も握ってない…」
そう言うと、ニノはそっと俺の手を握った。
ぎゅっと握られて、振りほどくことはできなかった。
「覚えてない…?収録の日、楽屋で…二人で話してたの…」
そう言われても…前日のことは断片的にしか思い出せていなかった。
「わかんない…」
なんとか声を振り絞ってそれだけ言ったら、もっとニノが近くに寄ってきた。