第15章 タイガーリリー
『副社長から言われて…今から翔ちゃんの家、行ってもいい?』
「えっ?なんで…?」
『俺のこと思い出せないと、仕事支障出るから、1日櫻井に張り付いてろって副社長が…』
「あ…まあ…」
『…やっぱり、思い出せないの…?』
「…ごめん…」
病室に来た時のニノって人は、俺が本当に誰だかわからないと知ると、本当にショックを受けていた。
真っ青になって、泣きそうになっていた。
なんだかすごく申し訳なくて…
だから、本当は一人になりたかったけど家に招待した。
「…ごめんね?急に押しかけて…」
「いや、いいんだ。上がって」
玄関のドアを開けると、両手に荷物をいっぱい抱えたニノって人が立ってた。
「…それ、なに…?」
「ん?翔ちゃんに思い出して貰おうと思って、色々持ってきたんだ」
荷物を俺も持ってリビングに通した。
部屋の真ん中に置いてあるソファーセットにニノを誘導して、俺はコーヒーの準備をした。
「コーヒーでいいんだったよね?」
「えっ?思い出したの?」
「あ…いや、資料に書いてあって…コーヒー好きって…」
「そう…」
明らかに落胆したニノの前のローテーブルにマグカップを置いた。