第15章 タイガーリリー
生歌を聴くと、本当にその違いって如実で。
智くんやニノの生歌は、やっぱり心を突き動かされるものがあって。
本域で歌った時の声の迫力とかそんなものが、自分とは全然違って。
肌で歌を感じる。
その声が敏敏と脳に染み渡ってくる。
本当にシンガーなんだなって思う時がある。
猫背で丸まってゲームをする背中ごしに、ぽんと頭を撫でた。
「えっ!?なに?」
「ん?…ありがとう」
「え?」
「その曲にする。ソロ」
「あ…?」
「今、ニノが鼻歌歌ってたのにする」
「え?俺、歌ってた?」
「うん。歌ってた」
なんだか真っ赤になった。
「ご、ごめん…」
「いや、あやまるこたないだろ」
「うん…」
そのまま俯いて、またゲームを始めた。
「なんか、この曲頭に残っちゃって…」
「ふふ…そっか…」
ゲームの機械音が鳴ってる室内は、俺とニノしか居ない。
ニノの座るソファの背面にあるテーブルセットで、俺はコーヒーを飲んでいた。
「ニノ、コーヒー飲む?」
「飲む…」
まだ顔を赤くしてる。
耳まで赤い。
「どうしたの?」
「え?なにが?」
「顔、赤いけど」
「えっ…?」
ペタペタほっぺたを叩き始めた。
「きっ…気のせいだよっ…」