第15章 タイガーリリー
「ふうん…ちょっと聴かせて?」
ニノがヘッドホンを片方取って耳につけた。
順番に候補の曲を再生していくと、ニノはずっと前を見ながら聴き入っていた。
「1番と3番の曲は、俺好きだな…」
「ほんと?」
もう一度1と3を再生して二人で聴き入る。
「うん…やっぱこんな感じいいんじゃない?」
前回のアルバムとは違う感じにしたいって言ったのを覚えててくれたのか、明るい曲調をニノは選んでくれた。
二人して目を閉じて聴き入っていると、現場についてしまった。
「ニノありがとな」
「うん。いいよ」
ゲームをケースにしまいながら、ニノはにこっと微笑んだ。
今日は二人で雑誌の仕事でグラビアの撮影。
夏まっさかりだけど、雑誌が発売されるのは来月だからもう秋モードの衣装。
「あっちい…」
冷房を効かせてはくれてるけど、厚手の秋物はやっぱり暑くて。
汗をかきながら撮影を待っていると、またニノがゲームを始めた。
なにをするわけでもなくその姿を見てたら、鼻歌を歌い始めた。
それはさっき二人で聞いていた曲で。
メロディーラインをなぞって歌うその鼻歌は、とても心地よかった。
やっぱり…才能の差っていうのかな…