第11章 グレイscene4
「翔くん…」
振り返ると、潤が笑って俺を見上げていた。
「気をつけて」
「え?」
それ以上、潤はなにも言わなかった。
潤から目を逸らすと、雅紀の姿を探した。
いない…
さっきまでここに居たのに…
板敷きを降りて、テーブル席を探したけど居なくて。
トイレかなと思って足を向けた。
宴会をしている部屋から奥に入った通路。
その突き当たりをまた曲がるとそこにトイレがある。
角を曲がろうとした瞬間、人の声が聴こえて思わず立ち止まる。
「…好きなんですっ…」
女性スタッフの声だった。
「相葉さんのことが、ずっと…」
心臓が跳ねた。
雅紀…?そこにいるのは雅紀なの…?
「お願い…一回だけでいいから…」
どんな…顔をしてるの…?
「抱いてください…」
どんな顔でその女を見ているの
気がついたら浴びるほど酒を飲んでいた。
隣りにいる雅紀が必死で俺を止めるけど、さっきの事を思い出して、どうしても酒が飲みたかった。
「翔ちゃんっ…急にどうしたんだよ!」
「うるせえっ…」
雅紀の手を払って、また酒に手を伸ばした。
雅紀は…なにも言わなかった
なにも言わず、あの女を
抱きしめた