第11章 グレイscene4
「それは…恋じゃないか…?」
個室の外で声が聞こえる。
その声は…!
「マギーさんっ!」
「やあ…!御村くん」
マギーさんは潤のドラマの共演者で、そう…
山田太郎ものがたりの脚本を書いていた所謂マルチプレイヤー。
ジョビジョバ時代から才能溢れる活躍を見せる役者さんだ。
個室から飛び出すと、マギーさんにかぶりつく。
「こ、こ、こいっ…恋って…!」
「落ち着き給え、御村くん…手を洗い給え」
「おれっ…おれっ…」
手を洗いながらマギーさんを見つめる。
「まあまあ…だがな、彼女は残念ながら人妻になるんだ」
「は?」
「だからな、ファンで居ろ?な?」
「へ?」
「さあ、涙を拭くんだ…」
ハンカチを差し出すマギーさんはなんか勘違いしてたけど、俺は重要なことを教えてもらった。
「そうか…これは、恋なんだ…」
榮倉ちゃんじゃなくて…
俺が恋してるのは…
その日から、俺は変わった。
「潤?喉乾いただろ?」
「あ、翔くんありがとう!」
潤の周りをうろうろうろうろ…
「ねえ…なんか翔ちゃんおかしいよね…」
「どうしたんだろ…」
「なんか潤に弱み握られてる…?」
誰がなんと言おうと構わない。
俺は…俺が好きなのは…
「潤♡」
「なーに?」
一つ問題があった。
この坊っちゃん…実はすごく、鈍感だ。
「あ…潤…?」
「なに…?」
振り返った潤の顔に、キスでもしそうなくらい近づいても目を逸らさない。
それどころか、じっと俺の顔を見てくる。
「まつげ、とれてる」
「ん」
目を閉じて顔を俺に突き出すんだぜ…?
「キスしちゃおうかな…」
「んー…?ふふふ…何いってんの?」
前髪を指で避けて、目の下を親指で撫でてもまだ目は閉じたままで…
「ほんとに…キスするぞ…?」
「いいよ」
おまけに、んーと唇を突き出してきた。
俺のほうが心臓破裂して死にそうになった…
そんなこんなで、どんなにアプローチしても俺の思いはきづいてもらえなかった…
「どんまい…」
嵐一鈍感だと言われている智くんに励まされるくらい、俺のアプローチは派手なんだけどなあ…
「ありがと…智くん…」