第11章 グレイscene4
家に帰ると、ニノが居る。
そんな生活も一週間もすると慣れてくる。
俺達が過ごした歳月は、こんなこともすんなり受け入れるくらい長い。
「おかえり、潤くん。なんか食べてきた?」
「まだ」
「じゃあなんか作ってあげるよ」
そう言って俺のカバンを受け取ると、スマホを取り出す。
今日も掛かって来ている嫌がらせの電話の痕跡を、一個一個消していく。
この一週間、俺は鳥の死骸は見ていない。
きっとニノが…処分してくれてるんだと思う…
キッチンに立つニノの後ろ姿を眺めていると、涙が出そうになる。
「潤くん…?どうしたの?」
不思議そうな顔をしてニノが俺の顔を見ていた。
「ん…?なんでもない。なに作ってくれてるの?」
「ぞうすい」
「え…暑いのに?」
「…だって…潤くん、ろくに食べてないでしょ…?」
俺の顔を見ないでニノは言った。
そんなとこまで…ニノは俺のこと見ててくれる…
「胃に優しい物だからさ、ちゃんと食べてよね?」
笑いながら振り返るニノの笑顔が眩しかった。
思わず目を逸らして俯く。
「どうしたの…?」
「なんでもない…」
ニノ…
なんで、こんなに俺のこと…