第11章 グレイscene4
「翔ちゃん…」
智くんが俺の前に回り込んでじっと顔を見た。
「信じる…から…」
ゆっくりと智くんの顔が近づいて、唇が重なった。
そのまま抱きくるめられて、じっと熱を感じていた。
「…智くん…?」
ほろほろと涙を流しながら、智くんは胸に飛び込んできた。
「ごめん…好きなのに…こんなに好きなのに…」
「智…」
「自信がないんだ…翔ちゃんの恋人で居ていいのか…わからない」
「なんだ…」
「…え…?」
「一緒だよ…智くん…」
「いっしょ…?」
「俺だって…才能溢れるあなたと一緒にいていいのか…俺なんかが一緒にいていいのか、わからないよ…だけどね」
智くんの頬を手で包むと、親指で涙を拭う。
「智くんを思う気持ちは、誰にも負けない」
「翔…」
「もしも智くんを奪うやつが居たら…」
ぐいっと手に力を入れて智くんの顎を上げた。
「智を殺す」
智くんは目を閉じた。
「それで…いい…」
徐ろに手がパジャマのボタンに掛かった。
その手がボタンを外し終わると、静かに上着を床に落とした。
「抱いて…翔…」
寝不足の朝。
腕の中にいる愛おしい人。
そっとその猫っ毛に顔を埋めて幸せを噛みしめる。
愛してるよ…
智だけ…智しか、いらないから…