第11章 グレイscene4
泣きながら後ずさっていく智くんの腕を掴んだ。
「話を…聞いて…?」
「いやっ…」
ドンとドアにぶつかると、智くんは崩れ落ちた。
「信じてたのに…俺には翔くんしかいないのに…」
「智…」
ぐったりと脱力して座り込む智くんの手に触れた。
瞬間パシンと頬に痛みが走った。
「智…」
「触らないで…」
心臓が凍るくらいの冷たい目…
ゆっくりと立ち上がると、静かに寝室のドアを開けた。
出て行く背中を追いかけて強引に抱きしめた。
「…離してって言ってるでしょ…」
「聞いて」
もう、智くんは動こうとしなかった。
「誤解だよ…」
智くんのうなじに顔を埋めながら、静かに語りかける。
「潤にね、相談してたんだよ…」
ふうっと息を吐き出しながら、ぎゅっと抱きしめる腕に力を入れる。
「智が…慣れない映画の撮影で、どうやったら体調を崩さずいけるのか…とか。潤の知ってるスタッフさんが智の組にいるから、そのスタッフさんと食事行ったりしてたんだよ…?」
「俺、子供じゃない…」
「智…」
「そんなことしてもらわなくても、一人で頑張れる」
「うん…わかってるよ…ごめん」
「そんなに俺、頼りないの?情けないの?」