第9章 退紅(あらそめ)scene3
ゆっくりと智くんの首から手を離した。
「ぐっ…げほっ…げほっ…」
堪らず智くんがソファの座面に突っ伏す。
その身体を乱暴に仰向けにした。
覆いかぶさると、ゆっくりと顔を近づけた。
「翔く…」
苦しそうに喘ぎながら、俺の首に腕を巻きつける。
弱々しい力で俺の顔を引き寄せると、震える唇が俺の唇と重なった。
「やっと…俺と…」
「え…?」
智くんの唇から漏れる声は掠れていた。
「やっと俺と…同じ所に堕ちてくれたね…」
その微笑みはどこまでも俺を誘い込む。
智の唇から赤い舌が出てきて、俺の唇を割り開く。
口の中に入ってきた智は、俺の中を蕩かすように舐めていく。
その官能的なキスに我を忘れた。
むちゃくちゃに智の口の中に入って、その甘い唾液を吸い上げた。
唇を離すと、俺達の間には銀の糸。
舌でそれを舐めとると、智は微笑んだ。
唇の端から、溢れる唾液も舐めとるとそのまま唇に舌を這わせて舐め上げた。
べろりと智を味わうともっと欲しくなる。
世界で一番美味しい俺の食事。
もっと…もっとだ。
首筋からうなじの皮膚を隙間なく舐めていく。
俺の唾液で濡れる首筋に、また欲情する。