第9章 退紅(あらそめ)scene3
「さと…し…」
智くんは口でパッケージを破ると、片手で器用にゴムを着けた。
その猛りを俺の後ろに押し当てた。
「まって…」
「ごめんね…翔…」
ぐいっと智くんが腰を前に動かした。
めりっと中がこじ開けられるような感覚。
「あ…う…」
痛いけど、身体に力が入れられない。
「ま…て…さと…」
俺に覆いかぶさる智くんは、無表情で…
なのに、俺の中に入ってるものは滾ってて。
なにが起こっているのかわからなかった。
俺の足の間に智くんが居て、俺の中に智くんがいる…?
「あ…翔…」
全部中に入ってしまうと、智くんの表情が変わった。
頬に赤みが差して、その視線はちゃんと俺を見てる。
ゆっくりと俺の上に身体を重ねると、智くんの香りが漂ってきた。
その匂いは、俺の安心する香りで。
「翔…愛してる…」
その声色は、俺の安心する音で。
ゆっくり俺を包んでいく。
唇が重なると、智くんがゆっくりと動き出した。
中のこすれる感覚は初めてのもので。
どうしたらいいのか全くわからない。
「あ…う…」
「翔…ごめんね…気持ち良くさせてあげられないかも…」
そう言うと萎えている俺を掴んで握った。