第9章 退紅(あらそめ)scene3
智くんも随分痩せていた。
一回り、身体が小さくなった。
「智くん…好きだ…」
「うん…」
「ずっと好きだ」
「うん…」
「一緒に…居たいよ…」
「俺も…」
智くんの口の動きがスローモーションに見えた。
「翔くんのことしか好きじゃない」
まっすぐ俺を見た。
「じゃあ…あれは…どういうこと…?」
智くんは奥歯を噛み締めた。
「あのフリーライターの身内なんだ…」
「え…?」
あのフリーライター…
事務所の若いのに片っ端から手をつけて、挙げ句の果てに消された元幹部のことを嗅ぎまわって、俺に脅しを掛けてきたあいつ…
「どういうこと?」
疑問に思ってたことが…ないわけじゃない。
どうして智くんはあいつの部屋に入れたのか。
どうしてあのCD-Rを探すことができたのか…
しかも警察がくるまでのあんな短時間で。
「あの子に協力してもらった」
「そんな…!」
「…あの子も、あいつに弱みを握られてた」
「…え?」
「だから協力したんだよ。二人で」
智くんがあいつをおびき出して殺す。
あの子はあいつの部屋に合鍵で入って、証拠を持ち出す。
「あの子は、あいつにレイプされて写真撮られてたんだ」
智くんは無表情で、俺の手を握りしめた。